表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Moon Rabbit ~ムラビト~  作者: 煤周 昴
共通ルート
5/10

共通ルート03

あれ......?

オレは、いったい何をしていたんだっけ。

「ーーーー」

それに、ここはどこだろう?

なんだか、すごく暖かい。

しかも、かすかに良い匂いもする。

「......っほー」

というか、さっきから聞こえるのは......?



「やっほーーー!!!!!」



「うわああぁっっっっつ!?!?」

目を開くと同時に、オレはそう叫んでいた。

それもそのはず。

巫女服姿の少女が、息がかかるほどの距離でオレを覗き込んでいたのだから。

「えへへ、おはよ~~」



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



年齢はオレと同じくらいか、もしくは下か。

顔立ちはまだ少しあどけない。

邪気のない目、赤子のような頬。

艶やかで健康的な桃色の唇は、白い肌によく()えていた。

オレを覗き込むその仕草は、天衣無縫という言葉がよく似合っている。

......などと落ち着いて分析出来るほど、この時のオレは冷静ではありませんでした、残念!

「お前誰だ!? 何故オレを見てる!? どこから来た!? ここはどこだ!? ってか顔近い!! 超近い!!」

オレがそうまくしたてると、少女はぷくーっと頬を膨らませる。

「もう、いっぺんに聞かないでよ。私、耳二つしか付いてないんだから」

ほらほら、と少女は首を左右に振って、これ見よがしに両耳を見せつけてくる。

そのたびに肩まで伸びた茶色い髪が揺れて、オレの頬をくすぐった。

「分かった分かったから!!」

ふんわりと漂う石鹸の香り。

先程感じたいい匂いは、どうやらこの少女が発していたものらしい。

「(というか、別に耳の数は関係ないんじゃ......)」

「え? どうかした?」

「あ......いや、何も......」

少女の理論に基づいて計算するならば、一度に十人の言葉を聞き取れたことで有名な聖徳太子には、耳が二十個ついていたことになる。

教科書の飛鳥時代のページに「歴史上もっとも耳掃除に苦労した偉人」という欄があった記憶はない。

だがオレはそんな屁理屈を、少女の純真な瞳を前に言うことなどできなかった。

「えへへ、私はそら。この村に住んでるの」

「あ、え、ああ......」

意外と律儀な性格なのか、さっきの疑問にちゃんと答えてくれるみたいだ。

「なんだ、村の住人だったのか。......って村!?」

慌てて辺りを見回す。

そこはさっきまでいたはずの真っ暗な自室ではなく。

鬱蒼とした緑と澄んだ青空が広がる、ド田舎の村の......。


......古びた神社だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ