第零夜
ここから、彼女の物語が始まる___
第零夜
灰色セカイと藍眼の少女
「どこにもいかないで…!」
初めて来たのに、幼いながらに懐かさを感じた、曇天が覆う灰色のセカイ。
どうしてその言葉は出たかはわからなかったが。、咄嗟に出た言葉。
「大丈夫。何処にも行かないからね」
儚くて消えてしまいそうな笑みで、貴女は優しく言ってくれた。
そして、貴女はその代わりにと、約束しようと小さな私の手を握った。
「やくそく?」
「そう…澪は人であって欲しいの」
「ひと…?みおはひとだよ…?」
「ふふ…そうめ。…でも忘れないで覚えていてね」
「分かった、_____!」
雨が強く降り、霧が掛かる。思い出す事を拒むように、まるで、貴女の名前を言ってはいけないのかの様に。
今度こそはと思い出しても、いつも此処で終わってしまう。
貴女の名前は言ってはいけないのでしょうか?
言ってしまったら何か変わってしまうのでしょうか?
もしそうなら、幼い私にどうして貴女は___
「…何処にも行かないでって…約束したのに…っ」
夢から覚め、外を見ると土砂降りの雨が降っていた。雨が私の心を映しているように。
雨…落ち着きますよね(*⁰▿⁰*)←こら