エピローグ 十一
そう言って日記を渡すためにカバンを持ちながら和紀に近づいた恵麻の腕を和紀は引っ張り、恵麻を強く抱き締める。
「和紀…さん?」
そして和紀は恵麻を優しく離し、しかし恵麻の手は握ったままでこう言う。
「恵麻さん。僕、恵麻さんのことが好きです。それは、決して理沙の代わりなんかではありません。
僕は理沙のことをよく知っているし、恵麻さんのこともよく知っているつもりです。
恵麻さんには、真似だけじゃなくて本当に理沙に似た所があります。でもそれだけじゃない。恵麻さんには、恵麻さんだけの魅力があるって、僕は思うんです!
僕は理沙のことは忘れません。でも、恵麻さん言ったじゃないですか。
『今』を見て欲しいって…。
だから僕も、今、未来を見ていきたい。
恵麻さん、僕と一緒にいてくれませんか?」
「和紀さん…。」
そう言って恵麻は和紀に一歩近づく。
そして和紀の顔を見てこう言う。
「ありがとうございます。
私、和紀さんのことが本当に好きです。
これからも、側にいていいですか?
和紀さんの隣で、笑ってもいいですか?」
「もちろん!」
その後、2人は手を繋いで海から家へと帰っていった。




