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揺れる心 六
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恵麻は、和紀とのデートを終えて自宅に帰
って来た後、自分の部屋で考えごとをしていた。
『私、本当は知っている。和紀さんには最愛の人がいる、ってこと。
もしかしたら、私はその代わりなのかもしれない。
…いや私のことなんてどうでもいい。私は、和紀さんに幸せになって欲しい。
…それなら、私のやっていることは正しいことなのかな?本当に、私は和紀さんのことを思っている?
ただ、自分が幸せになりたいだけなんじゃないかな?
…それなら、私は和紀さんのために何かしているんじゃない。ただそう自分に言い聞かせて、ごまかしているだけだ。
…和紀さんには他に好きな人がいる。ということは、私に入る余地なんかない。
そう、私は…、身を引かないといけないのかな?』
そう思うと恵麻は悲しくなって、何だか泣けてくる。
そして恵麻はその日の晩、ゆっくり自分自身のことを考えた。
そして恵麻は姉から預かった「ある物」を見る。
そして、恵麻は…、
ある決断をする。




