70/88
揺れる心 五
※ ※ ※ ※
理沙、今日君がいなくなってから初めて、
僕は君以外の人を抱き締めたよ。
間違いない。僕はその人のことを、本当に好きになっている。
でもねこうも思うんだ。確かに君は、
『他に好きな人ができても、私は和紀のことを責めません。』
って言ってくれた。それは分かるんだけど…。
でもそうなると、君との想い出を思い出すことができなくなりそうで、怖いんだ。
君の存在が風化して、そのまま君が、君の生きた証が消えていってしまいそうで…。
それは悲しいことだよね?だからそうならないように、誰かが、僕が君の記憶を守らなきゃいけない。
でも、恵麻さんと幸せになりたいって思う自分がいる。それもまた事実で…。
こんな時、どうすればいいのかな?
 




