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揺れる心 一

「あっ、お待たせしました~!」

「いえ、全然待ってないですよ。」

「またまた~!」

 年が明けた1月、和紀と恵麻はある所で待ち合わせをしていた。

 その場所は…、世界的に有名な洋館の並ぶ、歴史を感じさせる区域である。

 「…ってか和紀さんって、歴史が好きだったんですね!」

「あ、はいまあ、でも好きになったのは最近ですけど…。」

 和紀が歴史を本格的に好きになったのは、理沙がいなくなった後である。

 理沙と付き合っていた頃の和紀は歴史はもちろん好きであったが、それは「戦国時代の武将がかっこいい。」「ヨーロッパがおしゃれ。」といった漠然とした興味で、また高校などで習う歴史の授業の域を出ていなかった。

 しかし、理沙がいなくなってから和紀は理沙のいた頃、過去にばかり目を向けるようになっていた。それが転じて、と言っていいのか度を越して、と言っていいのか、和紀は現在の時間よりも過去の時間に興味を持つようになり、それが一応歴史への興味につながった。

 『…いや、僕が歴史を好きになった本当の理由はそんなんじゃない。僕は、理沙を失った苦しみを紛らわせたかったんだ。だから今までやってこなかったことをやって、少しでも僕はこの苦しみから解放されたかっただけかもしれない。』

 和紀はそうも思う。また、

 『でも、理沙がいなくなってから新しいことに興味を持つなんて、いいことなのかな?

 それは、『理沙の知らない僕がいる。』ということにならないかな?

 それって…理沙への裏切りにならないだろうか?』

 「和紀さん…、大丈夫ですか?」

「あ、すみません。何かボーっとしちゃって。」

 和紀は少し物思いに耽り、恵麻にそう心配される。

 「…まあ、僕は大学では英米文学専攻ですけど、こういった歴史的な建造物を巡るのも好きですね…。」

「分かりました!私歴史はそんなに詳しくないので、今日はいっぱい教えてくださいね!」

 そう恵麻が言い、2人の1日が始まった。 


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