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彼女の気持ち 四
「和紀さんは絶叫系、好きですよね!」
「いや、僕はそっち系はちょっと…。」
「大丈夫大丈夫!とりあえず乗りましょっ!」
『やっぱりそう来たか…。これは本当に、理沙とのデートの再現だ…。』
和紀の中の既視感とそれに対する不思議さ、また理沙を思い出す寂しさは、一旦和紀の心の奥に強制的に封じ込められた。なぜなら…、
「でもちょっと待ってくださいよ!僕、前にもこれ乗ったことあるんですけど、絶叫系本当に苦手なんですって!」
ここから先は理沙の時には出なかった台詞だ。
「…そうですか。でも恐がった和紀さん、見てみたいなあ…!
それに一回乗ってるんでしたら体が慣れてますって!
というわけで乗らない選択肢はなし、でお願いします!」
当然恵麻のリアクションも昔にあったものではない。またその際の恵麻はニコッとして首を傾げ、その様子を和紀は不覚にも「かわいいな。」と思ったが、恐怖の感情がその思いを瞬殺する。
「じゃあ、並びますよ!」
そうして、和紀は2度目の恐怖を味わうこととなった。




