彼女の気持ち 二
「わあ、きれいですね和紀さん!」
「そう、ですね…。」
そのテーマパークで、和紀は初めての恵麻とのデートの時に感じた、理沙の面影を感じることとなる。
恵麻の手には…、かつて理沙が持っていたものと同じような、一眼レフのカメラがあった。
「恵麻さん、それは…、」
「実は私、カメラが趣味なんです!だから今日はこれでいっぱい写真撮りたいな、って思って…。」
『これもどこかで聞いたことのある台詞だ。』
和紀はそう心の中で思うが、顔には出さずうなずく。
そして、
「でもこれ…、高かったんじゃないですか?」あえて自分が昔に言ったであろう言葉を恵麻に投げかける。
「ま、まあ値段は秘密ですけど…、けっこういいやつですよ!」
「そうなん、ですね…。」
これもどこかで聞いたと思うのは、自分の記憶違いだろうか?和紀はそう思った。
「じゃあまずはゲート前で1枚!あと、2人の2ショット写真はスタッフさんか誰かに撮ってもらいましょうね!」
「分かりました…。」
『いややはり記憶違いではない気がする。では、なぜ恵麻さんは理沙と似た行動をとるのだろう?
…もしかして、恵麻さんは理沙のことを知っている?
いやだとしても、行動まで同じなのは腑に落ちない。これではまるで、恵麻さんが理沙と僕とのデートの一部始終を見てきたかのようだ…。』
「和紀さん、聞いてます?」
恵麻の指摘で、和紀は我に返る。
「あ、ごめんなさい。ちょっとボーっとしちゃって…。」
そう和紀はごまかすのが精一杯だった。




