再現 九
「…和紀さん?」
「あっ、すみません。でもさっきのやりとり、何か面白かったです!」
「そうですか。でも和紀さんが笑ってくれるならそれが1番です!」
「あ、ありがとうございます!」
そして和紀は恵麻も理沙と同じように、感情表現が豊かであることに気づく。
恵麻はよく笑うし、映画を見て号泣するし、やはり理沙と似た所がある。しかし、その笑い方は、恵麻と理沙では異なるような気がする。
その後2人は近くのカフェに入った。そのカフェも、理沙の時と同じカフェである。
しかし、そこで恵麻はアメリカンのコーヒーを注文し、和紀はエスプレッソを注文する。
これは理沙の時とは違う所だ。
「恵麻さんは…、甘い物は苦手ですか?」
「いえ、そんなことはないんですが…、今日は何か甘い物の気分じゃなくて。
和紀さんは苦手ですか?」
「僕は昔は甘い物をよく食べていましたが…、最近は食べてないですね。」
そう言いながら和紀は、少し泣きそうになる。
すると恵麻の方はその和紀の様子を不思議に思うこともなく、和紀の方をじっと見つめる。
その視線を意識し、和紀はどうにか涙をこらえるのであった。
「じゃあそろそろ帰りましょっか!
今日は楽しかったです!ありがとうございました!」
「こちらこそありがとうございました!」
そう言い合って2人は家路についた。




