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再現 八
そして映画が始まる。和紀と恵麻、2人の席の間には塩味のポップコーンが置かれている。
また、和紀も恵麻も感情移入しやすいタイプのようで、2人ともクライマックスのシーンでは目に涙を浮かべていた。
「和紀さん、泣いてたでしょ?」
「えっ?泣いてないですよ?」
「またまた~!
今も目、赤くなってますよ!」
「…バレたか…。
でも恵麻さんも泣いてましたよね?」
「もちろん!
だって私は感受性が強い子なんですもん!」
「そこは恥ずかしがってくれないと、面白くないですよ…。」
「やっぱり!私もそう思ったから、あえて『感受性の強いキャラ』で行こうと思いました!」
「じゃあ本当は違うんですか?」
「いや、もちろん私の感受性は強いのであります!」
そのやりとりがおかしくなって、和紀は笑う。…と同時に、和紀は強い既視感に襲われる。




