プロローグ 三
君の病気のことを知ったのは、それから2年後の秋のこと。
その時君は前から病気を患ってはいたけど、僕に心配をかけたくなくて言い出せなかったって言っていたっけ。
そして、具体的な病名までは覚えていないけど、君はその時余命宣告を受けていて、僕はその時、君ともう少しでお別れをしなければならないことを知った。
…僕は病気のことを聞かされた時、もちろんショックを受けた。
でもそれは決して君が僕に打ち明けてくれなかったからではない。ましてや嫌いになったわけでもない。僕は純粋に、君がこの世からいなくなってしまうことが、怖かったんだ。
『どうして早く言ってくれなかったの?
もっと、僕を信頼してくれても良かったじゃないか。』
僕がそんな気持ちを持たなかったと言えば嘘になる。でも、そんな気持ちはすぐに僕の心の中から消えてしまった。
そう、それは君が抱えていた病気への不安、怖さに比べれば、僕が抱いたそんな思いなんてちっぽけでどうでもいいと思ったからだ。
それに僕が一瞬でも君を責めるような気持ちを持ってしまったことに、僕は今でも罪悪感を持っている。
そして僕たちが病気の痛みを「共有」してから、僕たちは残りの日を2人で全力で生きていこう、そう決めた。