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忘れられない恋 十二
そして映画が始まる。和紀と理沙、2人の席の間にはキャラメル味のポップコーンが置かれている。
また、和紀も理沙も感情移入しやすいタイプのようで、2人ともクライマックスのシーンでは目に涙を浮かべていた。
「和紀、泣いてたでしょ?」
これは映画が終わった直後の理沙の台詞である。
「えっ?泣いてないよ?」
「またまた~!
今も目、赤くなってるよ!」
「…バレたか…。
でも理沙も泣いてたよね?」
「もちろん!
だって私は感受性が強い子なんだもん!」
「そこは恥ずかしがってくれないと、面白くないよ…。」
「やっぱり!私もそう思ったから、あえて『感受性の強いキャラ』で行こうと思いました!」
「じゃあ本当は違うの?」
「いや、もちろん私の感受性は強いのであります!」
そう言って2人はまた笑う。




