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忘れられない恋 九
「あっ、お待たせ和紀!待った?」
「ううん。全然待ってないよ!」
「でも顔赤くなってるよ!」
「えっ、そうかな?」
12月中旬。その日は和紀と理沙が付き合い始めてから初めてのデートである。
その日、2人は映画を見ることにしていた。また2人は同じ高校に通っているのだがお互いに恥ずかしがり屋で、校内ではほとんど話をしていなかった。
「何かさ~こうやって2人で過ごすのって、久しぶりな気がする!」
「理沙もそう思う?実は僕もそう思ってたんだ。」
「そっか。でもおんなじ高校に通ってるのに、何か不思議だね。」
「うん…。」
「…何か校内で話するのって、恥ずかしいよね…。
周りの目も気になるし…。」
「気にし過ぎじゃない、って言いたい所だけど…。
僕もその気持ちは分かるよ、理沙。」
「やっぱり~?和紀はシャイだもんね!」
「理沙もおんなじじゃない?」
「あ、そっか。そうなるのか!」
そう言って2人は、笑う。




