急げ!
「だって、俺たち4歳の時から一緒に居たから覚えて無いよ。」
凛より先に俺の声が出た。凛は口を開けようとしていたが、余計なことを言いだから俺が先に声を出した。凛は口を閉じ、首を何回か縦に振った。
「そっかぁ。お前ら、学校中で異色のカップルって呼ばれてるぞ。」
『はぁ?!』
また凛と声が揃った。まあ、それもそうだろう。俺も驚くのだから。
「なんで俺と凛が付き合ってることになってるんだよ!」
「そうだよさんちゃん!」
「はぁ…お前ら本当鈍感だな。あと凛、さんちゃんは止めろ。てか、もう8:30だぞ。学校に遅れる。」
そうだ。サンゴが言ってきたことにびっくりしすぎて学校の事をすっかり忘れていた。
8:40に朝礼が始まる。ここから歩いて20分の所に学校があるのだが、走るしか無い。
終わった‥
今までで一度も遅刻なんかした事もない。ましてや欠席、早退もだ。
考えている暇などなかった。気づいた時には足が動いていた。
俺はこう見えても足は速い方だ。だが、凛とサンゴは……遅い!遅すぎる!もう、無視して行くしかない!
だが、この距離は俺でもきつい。
「はぁ、はぁ、」
着いた頃には、息が完全に上がっていた。
2分遅れて凛とサンゴがやってきた。
教室で朝礼が行われる。急がなければ。
九一の理想、第3巻を読んでいただき、ありがとうございました!