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7話

戦争である。


相手は人ではないがそんなものは関係無い。


この世界に生きてはや10年、命の危機は幾度かあったがそれよりも緊張している。


これが人の命を守るという事の重み。


前世より圧倒的に命の価値が軽いこの世界、せめて自分の手の届く範囲は守りたいと思う事は傲慢だろうか?



ダメだな、1人でいると色々考え過ぎて頭が煮詰る。早いがギルドに顔を出そう、知り合いにでも会えば少しは気が紛れる筈だ。




「おはよう」


「おはようございます、ジェードさん」


「ギルドマスターいる?」


「いえ、既に来ていた冒険者達を率いて戦場予定地に向かって陣を作っている筈です」


「そっか、なら俺も向かうとするよ」


「はい、ジェードさん、お気を付けて」




「おーい、ジェード!」


陣に向かうと森の狩人がいた。


マイクは相変わらず豪快ででかい声だ。寝起きの頭に響くから朝は勘弁して欲しいのだが。


「早いな」


「昨日は昂って眠れなくてな!早起きしてしまった!」


子供みてぇ。


「他の皆も早いな」


「マイクが五月蝿くてな」


「そうなのよ、起きた時に「うぉー!起きたぞー!」って毎回叫ぶのよ。一体誰に報告してるのかしら」


「いつもはマイクが1番遅くに起きるのでそれを聞いてもやっと起きたかとしか思わないのですが、今日はその叫びにびっくりして起きてしまいました」


「ははっ、なるほどね、興奮するのも良いけど程々にね、興奮し過ぎて周りが見えなくなると死んじゃうし」


「そうだな!もう少しでCランクに上がれるんだ!こんな所で死んでいる暇は無い!」


「ああ、この戦いである程度活躍出来たらCランクに上がれるんだ。何がなんでも生き抜いてやるさ」


「俺もこの戦いでBに上がれるかな?」


「さすがに早いわね。登録初日で私たちのランク追い抜いたと思ったらCランクからたった1ヶ月でBランクに上がるなんて聞いた事も無いわよ。でも、この戦いでは竜の息吹と貴方が最高戦力。頼りにしてるわ」


「俺だって死にたくは無いからね、全力を尽くす。そうだ、その為にもギルドマスターに会おうと思ってここまで来たんだけどどこにいるか知らない?」


「ギルドマスターなら多分領主と情報の擦り合わせと作戦をたてる為に領主の所だと思う、普通の冒険者である俺たちは入れないから出てくるのを待つしかないね」


「分かった、ありがとう」




暫くしてギルドマスターが出てきた。


「おーい、ギルドマスター、領主と話し合いをしていたと聞いたがどうなった?」


「ジェードか、作戦はこれまでの氾濫と変わらねぇ、ただこちらが仕掛けた罠の場所を教えたくらいだ。それにしても貴族との会話は肩が凝るぜ」


「そんなにか?」


「うちの領主サマは辺境伯で爵位は高いが王都の貴族連中とは違って武闘派だ。その分はまだマシだな、だがその中央連中とも渡り合える話術と腹黒さは持ってやがるからな。気を抜くと直ぐに足元救われる。全くもって面倒臭い生き物だな貴族って奴は」


「いっそいなくなってくれても構わないんだが」


「そういう訳にも行かねえ、貴族がいなけりゃ広大な土地を治めきれねえ、分裂しまくって至る所で戦争祭りになっちまうからな」


「それと比べればマシな気もするが、嫌な2択だな」


「違いねえ、話は変わるが今回の戦いの勝利条件だが王級を殺る事だ。逃がせばまた直ぐに氾濫が起きる。つまりAランクパーティである竜の息吹は出来る限り温存しなきゃならねぇ、主戦力のお前やBランクパーティの奴らには負担がかかっちまうが死んでくれるなよ?」


「ギルドマスターはどうするんだ?」


「俺は指揮を取る事になっている、怪我もブランクもある。俺を宛にすんなよ?」


ぜってー嘘だ。


「お?もう森の罠にかかる位まで来てるぞ。そろそろ準備した方がいいと思うぞ」


今は10時位だろうか?これから長い戦いが始まる。


「ようやくか、行ってくる」


ギルドマスターが少し高い場所に上がる。


「野郎共聞きやがれ!」


うるさっ!


「もうじきクソゴブリン共がやってくる。俺達を殺しにな。だが我々冒険者様達は優しいからな、首元に刃を、全身に魔法をくれてやれ、フェンネルを守る為に!怖じ気付く奴は今すぐ小便漏らしながら引っ込め!別に誰も責めやしない。・・・いねえみたいだな。あのクソ共はただの餌だ、己の目的を果たす為の糧、繁殖しか能のないクソ共にどちらが強者か教えてやるのだ!」


口悪いな、それに鼓舞が下手。


まあそのくらいの方が返って効果的かもしれない。


冒険者って脳筋多いし、プライド高い奴多いし。


接敵する前にステータスを弄っておく。


ジェード(14)


職業:魔導使い 補正:魔力+40%・消費魔力−20%

・魔力回復速度+10%


Lv23


体力50

魔力100

筋力20

速力40


SP60


スキル


火魔法Lv2

風魔法Lv8

土魔法Lv5

回復魔法Lv4

空間魔法Lv5

魔力強化Lv5

魔力増幅Lv5

魔力回復Lv4

夜目Lv1


SP34


称号

界渡り・早熟・孤高の魔法使い



出来る限りステータスは上げた、何かあった時の為に余力を残してはいるがかなり上がった。


「ゴブリンが見えたぞ!広範囲魔法を使える者は準備をしろ!」



できる限りの事はやった。今の俺が買える最高の装備を買ってあるし(完全に偶然)、装備には魔力を最大まで込めてある、後は渾身の魔法を叩き込むだけ。


「撃て!」


下降気流刃(ダウンバースト)!」


広範囲魔法とはLv7で使える様になる。範囲こそ広いが威力はそこそこな魔法である。


1発大体魔力値10を消費するのだが俺は50を込めて放った。


他の人も一斉に魔法を放つが俺の魔法が1番早く叩き込まれる。


魔力値の差と職業の差と放つ魔法の属性の差だ。


下降気流刃は巨大な質量を持つ風の塊を風刃と共に上から下に叩き込む魔法。


威力は、無数の不可視の風刃の当たり所が悪ければ死ぬ程度だが、およそ5倍の威力にもなれば十分に致命傷である。


つまりは、魔法の範囲一体に緑色の華が咲いた。


かなりグロテスクだ。


1拍遅れて他の魔法も炸裂する。


爆炎、水針、地震。


爆炎は火や熱より爆風で攻撃するといった魔法、爆心地は死の危険があるが逸れると威力は微妙。


水針は無数の水の針を生み出し攻撃する。目や耳などの柔らかい部分は危ないが他に当たれば痛いが我慢出来る程度の威力、皮膚が硬い敵には無意味。


地震は地震、震源地はめっちゃ揺れるが離れると立っていられる程度、バランスを崩す事によく使われる。


俺の魔法で数千はいったが、ほかはあまり死んでいない。元々そういう魔法だし俺のがおかしいだけなんだが、でも確実に多数に傷をおわせているし足も鈍っている。


そう言えばさっき殲滅者という称号を得た。


一撃で3000以上屠った人に付くらしい。


効果は相手の数が多ければ多い程ステータスが上がる。


なんてタイムリーな。


「矢を番えろ!構え!・・・放て!」


ゴブリンは武器や防具を持っていないので面白い位サクサク刺さって死んでいく。


まあ、進化している奴らはたまに冒険者から奪った武器を持っている奴もいる。


矢の弾幕を掻い潜って来たゴブリンがおよそ30mまで接近する。


「突撃ー!」


乱戦が始まる。


俺も筋力と速力にものを言わせゴブリンをぶった斬る。


同レベルの剣士には遠く及ばないがゴブリン相手には充分なステータスをしている。


技術は無いが、剣は壊れない。刃こぼれもしない。


そんなやわな剣は買ってないし、魔力で強靭化している。


また来た。


今度は5体纏めて襲ってくる。


1番近いゴブリンの首を落とし、その次を土槍で仕留め、3体目の袈裟を斬る。4体目を避け、5体目の頭に剣を突き刺し、引っこ抜く勢いを利用し再度向かってくる避けたゴブリンを斬る。



お世辞にもいい太刀筋、連携とは言い難いが無難にこなしている。


何より魔法が制限されるのがきつい。


乱戦で火や、風は危ないし、水はまだ覚えていない。


空間魔法は攻撃力が無い。


回復魔法なんて使う意味が分からない。


結果戦闘で使える魔法は土魔法に絞られる。


ちまちまやってるのも面倒臭いので剣術スキルを取り一気にLv3まで上げる。


空間把握で周りを把握しているので、危ない所があればノールックで土槍を使い援護しつつ、怒涛の勢いで敵を切り捨てる。



始まってから1時間位が経過した。


4万近くいたゴブリンの残りは約1万。


罠も合わせ3万近く屠った事になるが殆どが普通のゴブリン。


ここで体力の切れた者、ホブゴブリン以上の集団を相手にするには荷が重い者を退場させる。


こちらの数はおよそ2000。


戦力差は10倍近くあった物を5倍程度にまで縮めたがここからが本番である。










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