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3話

あれから約10年の月日が流れた。


森に捨てられたジェードももうすぐ15歳。


ジェードのいる国では成人が15歳。


流石にずっと森で暮らして行くのも寂しいが出ていくのも寂しいと森を出るのを渋っていたジェードもそろそろ出た方が良いんだろうなと思っていた頃に成人になる事を思い出した。


ステータス上では魔法使いだが手に職を付けていない成人など外聞が悪いだろうと思い今日森を出る決意をするに至った。


森の中に外聞もクソもあるはず無いのに。


生活は出来るであろう常識は身に付けているつもりである。


本人は。


文字の読み書きや計算、流通貨幣の事もある程度知っているので大丈夫だろうと思っている。


これだけで大丈夫とは片腹痛いにも程があるが。


「10年間過ごしたこの森ともお別れか〜」


定住はせずちょくちょく住処を変えていたので俺の元いた村とは大分離れているが同じ森だ。


「さて、出発しようかな」


街の場所なんて知らんけど森出れば何とかなるだろ。


森を歩く事1時間、鬱蒼としたくらい森のゾーンを抜け木漏れ日がさす気持ちのいい森のゾーンに入っていった。


木の密度も減っているしこの方向であっていたのだと確信する。


歩いていると森の中から戦闘音が聞こえて来た。


これは・・・戦っているのか?


片方はオークだな、もう片方は人か?


オークの数が多いな、加勢に行ってみるか。


空間把握を使い察知する。


「少し急ぐか」


足を早め1分程で着く。


「クソッ、なんでこんな浅い場所でこんなにオークが出やがるんだ!」


「知らないわよ!ごちゃごちゃ言ってないでさっさと足止めしなさいよ!」


「してるっつーの!数が多すぎて手が回らねぇ!」


「魔法行きます!火球(ファイヤーボール)!」


「ダメだ数が多すぎる。森の中では火魔法が十全に使えない!焼石に水だ!」


「じゃあどうしろって言うのよ!」


「敵を倒しつつ後退だ!木の根に足を取られるなよ!」


「了解だ!」


そこでは女2人男2人の4人パーティが無数のオークと戦っていた。


もう半分は屠っているだろうが、前衛2人は疲労で動作が鈍っている。


斥候らしき人も弓や短剣で応戦しているが脂肪と筋肉の塊であるオークに効き目は薄い。


1番余力があるであろう後衛の魔法使いも火魔法しか取っていないのか先程から火球(ファイヤーボール)ばかり撃っている。


森に延焼したらそれで自分達の命が危うくなるから大技は使えないのだろう。


そろそろ出るか、


「加勢が必要か?」


4人全員に聞こえる声で問う。


「加勢してくれるのか、助かる!」


斥候の男が答える。


前衛2人は此方に意識を割けないのだろう。返答は無い。だが恐らく聞こえてはいただろう。


「風魔法行くぞ!下がれ!乱風刃(ウィンドエッジ)!」


風魔法は火魔法と違い火傷等の継続ダメージは無いものの不可視な上殺傷能力が高い魔法だ。


前衛2人も知っていたのだろう。風魔法と言った時点で全速力で下がってきた。


乱風刃がオークを木ごとバッサリ切断していく。


残っていたオークの7割くらい仕留めただろうか


「これで終いだ!乱土槍(アースジャベリン)!」


残ったオークを土から生える槍で串刺しにして仕留める。


数匹撃ち漏らしたが斥候の方と魔法使いがきっちり仕留めていた。


「加勢助かったぜ!お前の分も討伐証明部位取っておいたぜ!」


そう言われて大量の豚鼻を渡された。


いや、キモイわ。


「此奴の肉はどうする、運べる分だけ運ぶか?」


顔はキモイけど此奴の肉旨いんだよね。ブランド豚って感じで。


「貴方たちはどうするので?」


「俺たちはアイテムボックスを持ってるんだ。と言ってもこのオーク達を入れれる容量なんて無いのだけれどね」


「ああ、入らなかった奴は集めて燃やす。じゃないと魔物が山ほど集まって来るからな」


ふむ、燃やすのか。ゴブリンを燃やすのには賛成だがオークは少々勿体ない気がする。


「では俺が一旦預かっておこう」


大量のオークを空間魔法の収納に納める。


「おいおいおい、どんだけ入んだよ。アイテムボックスはどこにあるんだ?」


「ん?そんなものは持っていない」


「なるほどスキル持ちか、それは羨ましいな」


「いや違うぞ、空間魔法だ」


「「「「は!?」」」」


「そんなに驚く事か?」


「空間魔法!超レアスキルじゃ無いですか!驚くなんてものじゃ無いですよ!持っているだけで人生勝ち組確定レベルの魔法スキルです!」


物静かそうな魔法使いの女性がエキサイトしだした。


「へー、そうなんだ」


「いやいやいや!反応薄過ぎやしないか!空間魔法だぞ!超レアスキル!どうやって手に入れたんだ!発現条件は?いまの職業は?レベルは?」


お、おう。前衛の筋肉ダルマがエキサイトして詰め寄って来た。


「お、おい。俺に男色の気は無いぞ」


「俺にだって無いわ!気持ち悪い事言ってんじゃねぇ!」


初対面の人に気持ち悪い言われた。


と思ったら斥候の男性がいきなり筋肉ダルマをぶっ叩いた。


「何いきなり初対面の人に失礼な事聞いてるんです?」


優しい怒り方だが妙な凄味がある。まるでスタン〇が背中に現れたかのようだ。


というかかなり怒り慣れてんな。この筋肉ダルマ常習犯か。


「いや、すまん。ちょっと興奮して・・・」


「それに初対面の人に気持ち悪いとか人として最低ですよ」


「いや!それはだな、彼奴が男色がどうこう言い出したからつい」


「そんな厳つい身体つきの奴が興奮しながら詰め寄って来たら普通はそうなります。貴方が悪い」


「すまん」


筋肉ダルマ・・・めっちゃしょんぼりしてる。


もう1人の前衛の女性は未だにエキサイトしてる魔法使いの女性を宥めていた。


最初は皆驚いてたがあんなエキサイト見たら冷めるよね。


今回諌める側に回った人もどこかしらにエキサイトポイント持ってるんだろうな。


ある意味バランスのいいパーティだな。


中断していた収納を再開し全て集め終えた。


「俺達はもう街に帰るつもりなんだけど君はどうするんだ?」


「俺も街に行こうと思っていた所だったんだ。俺が預かってるオークも渡さないとダメだしな」


「いや、そのオークは受け取れない。命迄助けて貰ってその上荷運びなんてさせられない。そのオークはお礼だと思ってくれ。勿論街に戻ったら別途お礼はさせてもらう」


「いや、このオークだけで充分だ」


「そうか、欲がないね。そう言えば自己紹介がまだだったな。俺はレオン、冒険者ランクはDで森の狩人のリーダーをしている。よろしく」


「俺はマイク、ランクは一緒だ。さっきは詰め寄って悪かった。よろしくな」


「私はシルビア。ランクはD。空間魔法に驚いて取り乱した。ごめんなさい」


「私はリサ、ランクはDになるわ。この4人で森の狩人というパーティを組んでるの。パーティランクはCよ。よろしくね」


「俺はジェード。これから冒険者になりに街に向かう所だから冒険者では無い。街の場所知らないから人に会えて良かった。よろしく」


「なっ!その強さで冒険者じゃ無いのか!一体誰に教わったんだ?」


「独学だよ、教えてくれる人なんていなかったからね」


「親に教わったりはしなかったのか?」


「両親共に俺が3つの時に死んでるよ」


「そうか、それは済まない事を聞いた。周りの大人達は助けてくれなかったのか?」


「別に両親の事は殆ど覚えてないから悲しくも無いさ、それに俺は5つの時に口減らしで森に捨てられたからな」


「酷い、子供を捨てる事は王国法で禁止されていた筈だ」


「商隊すら滅多に来ない寒村だからな、村の奴さえ黙ってれば孤児の俺一人いなくなった所で誰も気付きはしないさ」


「その村の名前教えてくれないか?その話をすればその村は何らかの処罰を受けるはずだ」


「ああ、村にはなんの思いも無い。カザド村ってとこだ」


「カザド村・・・確かその村は数年前に魔物によって破壊された村だ」


「そうなのか、まあ思い入れも無いし両親の墓も無いしな。既に無いのならそれ以上しようが無いしな」


「捨てられたと言っていたがどこで育ったんだ?孤児院か?スラムなんて事は無いよね?」


「森の中で育ったぞ」


「は?捨てられてからずっと森の中で?」


「意味がわからないわ、どうして森を出て街に行かなかったの?」


「捨てられるまで殆ど村から出たこと無かったし街の場所なんて知らないからな、それに運良く街に着いたとしても素性の知れない子供を働かせてくれる所など無いだろう?それなら危険だが日々の糧は得られる森の中で過ごそうと思ったんだ」


「危険だけど一理あるわね。生きていけるだけの力があれば飢え死にを待つスラムよりよっぽどマシだわ」


「森から出たことにも理由はあるのかな?」


「流石に15になるのに無職は不味いかなーと思ってね」


「想像以上に森を出る理由がくだらないな」


「確かに、でもその下らない理由のお陰で久しぶりに人と話す事が出来て嬉しいよ、捨てられた時以来だから実に10年ぶりの人との会話は楽しいものだね」


「「「「ぐすっ」」」」


ええー、いい歳した大人が4人揃って泣き出した。


「つらい、辛すぎる・・・」


「そんな長期間ずっと1人だったんだな・・・」


「愛や友情を知らずに育ってきたのですね・・・」


「10年も会話が無いなんて私なら耐えられないわ・・・」


泣いたり怒ったりエキサイトしたり、感情豊かで感受性も豊かなんだな。


「ぐすっ・・・俺達のこと兄や姉だと思って頼ってくれて良いからね!」


「ぐすっ・・・そうよ!遠慮なんてしたら許さないんだから」


「ぐすっ・・・何かあったら直ぐに呼べよ!守ってやるからな」


「ぐすっ・・・辛いことがあればお姉ちゃんが癒して上げますからね!」


うーむ、この人達は良い人だ。間違いなく、ただそこまで感情移入しなくても・・・と思わんでもない。


その後も歩いて街まで行ったが終始涙ぐんでた。


門番の人は森の狩人の人と顔見知りだったらしく彼らの実力も知っていた。


そしてその森の狩人4人を全員泣かせてるお前は誰だという誤解まで生じる始末。


1番最初に俺を困らせたの泣き顔のこの4人だったんだがこの場合はどうすれば?


結局誤解は解けたが誤解を解く過程で話した俺の身の上話で門番まで目がうるうるだ。


何こここんな感じの人多いの?


と、とても思った。


金を持っていなかったからギルドでオーク売ってから払おうと思っていたが門番さんが払ってくれた。


めっちゃいい人。でも勝手にそんなことして怒られやしないだろうか。


漸く街に着いた。


泣き顔の冒険者4人と俺の5人を見てギョッ!とする人が多い。


あぁ、悪評立ちそう。


やっとギルドに着いた。


オークの討伐証明部位を出して要らない分のオーク肉を出す。


金額はオークの討伐証明部位が銀貨5枚、日本円にして約5万。出した要らない分のオーク肉は総合計2トンくらい。オーク1匹200キロの計算だ。


2トンで金貨1枚、日本円にして約100万円。


そしてオークの鼻が43個金貨2枚と銀貨15枚


合わせて金貨3枚と銀貨15枚だ。


Dランクの割には稼ぎがいいと思うだろうがそうでも無い。


普通であればこんなに狩れる事は稀だし、パーティメンバーの人数で割らなければならない。


パーティ資金を貯める必要もあるし日々の宿代も1日平均銀貨1枚だ。


武器なんかになってくると銀貨で買える武器では不足をとる相手も多くなってくる。


そうなると中々散財は出来ないし冒険者割引が効く系列店やギルド内酒場で安酒を煽るしかない。


安酒でも毎日飲めば貯金が無くなる。


Dランクは切り詰めてトントン、ベテランDランクやCランク目前の強者でなければ赤字になることもある。


それに休養が必要だ。


ソロでDランク冒険者としてやって行けるならいいがパーティだと厳しくなってくる。


だが、AやSになれば下手な貴族より財力を持つ事も出来る。


冒険者には夢があるから冒険者の数は減らないのだとか、


まあその大半が夢破れ他の道に行ったり、死んだりする訳で高ランクはそんなに甘い所では無い。


取り分けCランクからは命の危険が一気に跳ね上がるので割もいいのだと。


受付嬢に脅しなのか応援なのかよく分からない言葉を貰ったがどちらでもないらしい。


一般常識だが俺は知らないからわざわざ言ってくれたようだ。


ギルドでの全てが終わった時には既に日は完全に落ちていた。


この時間で空いてる宿なんて信用ならない場所か高級宿くらいだと言われたのでギルドの寝床を貸してもらった。


朝夕の飯無しで冒険者割引で格安だった。


朝夕は基本ギルド併設の酒場兼飯屋で食えるのでだして無いのだとか。


冒険者に金を落とさせるいいシステムしてんなと思った。


晩飯を食い終わり、ギルドの寝床で寝ようとしているのだが眠れない。


森の中とは違ってありとあらゆる所に人の手が加えられていて落ち着かないのだ。


ソワソワしていると1つ聞き忘れている事を思い出した。


レベルが30でMAXになって止まって久しいのだ。


どうにかする方法がないか聞かなければ。


今のステータスはこんな感じになっている



ジェード(14)


職業:魔法使い


LvMAX(30)


体力30

魔力44

筋力16

速力20


SP40


スキル


火魔法Lv2

風魔法Lv5

土魔法Lv5

回復魔法Lv2

空間魔法Lv5

魔力強化Lv5

魔力増幅Lv2

夜目Lv1


SP10


称号

界渡り・早熟・孤高の魔法使い


主人公取得可能スキル一覧


水魔法6SP

身体強化1SP

体力強化1SP

筋力強化1SP

速力強化1SP

魔力回復3SP

剣術1SP

槍術1SP

拳術1SP

隠術1SP

跳躍1SP

投擲1SP

棒術1SP

索敵1SP

逃走1SP



SPは1レベル上がる事に3貰えるようだ。界渡りの称号により+2されて俺の場合は1レベルに5貰える。


SPも1レベル事に3のようだ。こちらは何も無し。


スキルの説明でもしよう。


火魔法:Lv1火球(ファイヤーボール)・Lv2魔力+1消費魔力1%削減


風魔法:Lv1風球(ウィンドボール)・Lv2魔力+1消費魔力1%削減・Lv3風槍(ウィンドランス)


Lv4魔力+1消費魔力1%削減・Lv5乱風刃(ウィンドエッジ)


土魔法:Lv1土球(アースボール)・Lv2魔力+1消費魔力1%削減・Lv3土槍(アースランス)


Lv4魔力+1消費魔力1%削減・Lv5乱土槍(アースジャベリン)


回復魔法:Lv1回復(ヒール)・Lv2魔力+1消費魔力1%削減


空間魔法:Lv1空間把握・Lv2魔力+1消費魔力1%削減


Lv3収納・Lv4魔力+1消費魔力1%削減・Lv5空間断絶


魔力強化:Lv1魔力+1・Lv2魔力+2・Lv3魔力+3


Lv4魔力+4・Lv5魔力+5


魔力増幅:Lv1魔力+1%・Lv2魔力+2%


夜目:Lv1昼間の十分の一の視界が確保される


孤高の魔法使い:ソロで活動している時魔力20%up



職業:魔法使いの補正が魔力20%upとして計算すると


44+23=67


67+1%+2%+20%+20%=おおよそ100です。


100は普通の人が魔力極振りで魔力強化、魔力増幅をギリギリまですると超えれるレベルでしかないですが魔力極振りだと戦場ではほぼ固定砲台ですね。


それにジェードはまだSP40も余力を残しています。


この40を魔力極振りするとおそらく200近くなると思われます。


これからの成長が楽しみですね。


スキルポイントの消費の仕方について疑問に思われた方がいましたらちゃんと説明致しますのでコメントの方にお願いします。

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