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2話

ズキッ


「ぐぁっ」


なんだ?頭が死ぬほど痛いぞ!


「クッソ!」


「ここは何処だ、俺は確かに死んだ筈だ」


「手が小さい、目線が低い、縮んだのか?いや、死ぬ間際の俺の手はしわくちゃではあったが痩せ細っては無かったはずだ」


「それに第一人称が変わってる。俺は歳をとってから『俺』と言わず『儂』と言っていたはず」


「そして極めつけは周りにあるもの全てに魔力が宿っている事だ。自分以外に宿っている魔力なんぞ分からんが全てに魔力のない場合にずっといたんだ。違和感しかないから分かる」


「死ぬ直前の最後の望みでも叶ったか?ははっ、そんな馬鹿な。転生なんて本当に有り得るのか!?」


「しかし、転生以外にこの状況を説明出来るものがない」


「この身体の元の持ち主の記憶によるとステータスと唱えると自分のステータスが見る事が出来る筈だ」


「ステータス」


ジェード(5)


職業:無職


Lv1


体力0

魔力0

筋力0

速力0


SP(ステータスポイント)0


スキル


空間魔法Lv1


SP(スキルポイント)0


称号

界渡り




界渡り:記憶を保持したまま前世とは違う世界に渡った者


効果:レベルアップ時SP(ステータスポイント)+2、空間魔法の取得。



「こんなもの見たらもう転生した事を認めない訳にはいかないな、あと、ステータスって以外にゲームっぽい」


自分の置かれている状況をある程度把握出来たので落ち着いた。


「で、なんで5歳児がこんな鬱蒼とした森の中にいるわけ?しかも1人で」


口にしてみたものの転生前の記憶も持っているので既にそれは分かっている。


口減らしねぇ。まあ寒村では有り触れた話だわな。子供はまだ職業を持っていないし自分で選ぶ事が出来るから職業差別は無い。だが生まれや家庭環境で差別される事は多い。最たる例が王侯貴族と平民だろう。村の子供達の学力に差はほぼ無い。皆文字が読める程度だ。それで、両親のいない俺が口減らしの対処になった訳だ。両親がいなければ拒否されることも無く決まる。そして決まった事案に対して子供に抵抗の余地は無い。大人は皆職業を持っている。数の上でも不利、だから俺も口減らしの対象になった時に抵抗出来なかったわけだ。

抵抗さえしなければ理不尽に殺される事は無い。自分達の手で直接殺す事は嫌だから放逐するのだ。せめて自分達の知らない所で自分達以外の理由で死んでくれとな。



因みに両親がいない理由は単に死んだからだ。理由は聞いてない。大方大きい街に行く途中に盗賊か魔物に襲われでもして死んだのだろう。


しかしこれで前世、今世共に天涯孤独か。いや、流石に前世はまた別か。


150まで生きたら親や兄弟なんか死んでて当然、当の俺に子供はいないんだから当たり前よな。一人っ子だったし。


まあとにかく今の俺は何も縛られる物は無い。村に帰ることなど出来んし街に行ってもスラムで惨めに死ぬだけだ。


それなら命を対価にこの森で生き抜く方が余程いい。


方針はまず食料を集める事。


そうと決まれば早速木の実や食べられる草を採取してゆく。


腹を満たしながら日暮れまで続け、完全に日が暮れる前に採取中に見つけた巨木の洞に帰還する。


この生活である程度生き延びることは出来るだろう。


ようやく休む事が出来る。


が、その前にステータス関連を精査しておかねば。


体力や魔力といった表記が全て0であるにも関わらずなぜ生きてられるのか。


それは恐らく自分の基礎体力や魔力に+されているのだろう。


でなければ体力0の俺が長時間森を彷徨く事など出来るわけないし筋力0とか普通に死ぬし。


あと今の俺魔力あるし。転生する前と比べたらゴミカスみたいな量だが。


「チッ、魔物がこっちに向かって来てやがる」


せっかく色々考えていたと言うのに邪魔しおって。


音的にゴブリンだな、数は1匹か。


いける。


手頃な石を持ってゴブリンの後ろから殴りかかる。


ゴッッと鈍い音がした。


流血はしているからダメージは入っている筈だが倒れない。


ゴブリン、最弱の魔物と言われているが魔物である事には変わりない。


5歳児である俺と同程度の背丈ではあるが大人と取っ組み合える程の膂力を持つ。


組み合っても勝てる道理は無い。


ゴブリンがたたらを踏んでいる間に距離をとる。


ゴブリンの知能は人間のそれより遥かに劣る。


怒り狂って無策で突っ込んで来るはずだ。


グギャギャ!


案の定だな。


手に持っている石を投擲する。


顔面を狙っていたが運良く目に直撃したようだ。


「前世で野球も齧ってたんだよっと、ざまぁみろぃ」


ゴブリンは右目を失った。


手には棍棒を持っている・・・と言いたい所だが恐らく太い木の枝を持ち武装してはいるが片目を失ったのでは正確に間合いを測る事も出来ないだろう。


逃げながら石を集めゴブリンの右側から投擲を続ける。


「クソッ!早く死ねよ!」


重くゴツゴツした石を全力で投擲しているので掌や肩に負担がかかる。


必中と言う訳でも無いし子供の投擲など軽いのだろう。効いてはいるが倒れる様子は無い。


「ハァハァ、もうあんまり投げる事は出来ない。どこに投げるのが効率的か、左目を狙うのが1番いいが正面に立たないと狙えない。だが出来れば視界には入りたくないから却下だな。次点で足だ、それも膝がいい。相手の機動力を削ぎたい。でも狙うのが難しいな。はぁ、やるしか無いか」


投擲を続ける。


足には当たるものの膝には当たらない。痛みで多少動きが鈍る程度だ。


「クソッ!」


グギャァ!


半ばヤケクソで投げた石がゴブリンの肘に直撃し、持っていた木の枝を落とす。


「ラッキー、武器が無くなればこっちのもんだ!」


痛みで制止しているゴブリンの死角から顔面にドロップキックをかます。


倒れたゴブリンを木の枝で殴る、殴る、殴る、殴る。


ゴブリンが死ぬ前に木の枝が折れたので最後は投げてそこらじゅうに散らばっている石でトドメを刺した。


「だぁ〜、つっかれた!これでレベルが上がっている筈だ!」


近くの木にもたれて座る。


「ステータス」


ジェード(5)


職業:無職


Lv2


体力0

魔力0

筋力0

速力0


SP5


スキル


空間魔法Lv1


SP3


称号

界渡り・早熟



「よっし!早速SPを割振ろうか!」


森の中に武器は無い。自分で作ろうにも設備も材料も無い。


ここは魔法使い型でいこう。


剣士の様に体力の続く限り狩るなんて事は出来ないが武器の無いここで魔法という攻撃手段を取ることは大事だ。


魔力0→4

筋力0→1


次はスキルだ。


取得可能スキル一覧


火魔法2SP

水魔法2SP

風魔法2SP

土魔法2SP

回復魔法2SP

魔力強化1SP

投擲1SP

棒術1SP

索敵1SP

夜目1SP

逃走1SP


多いな、レベルアップ前の戦闘経験とSP割振りによって取得できるスキルは決まるのかもしれないな。


火魔法ー取得

魔力強化ー取得


火魔法:火属性魔法が使える。

Lv1火球(ファイヤーボール)


魔力強化:魔力を強化する。

Lv1魔力+1


空間魔法:空間に関係する魔法が使える

Lv1空間把握


説明の意味あんのか?と思わないでもない。


称号も1つ増えていたので見てみよう。


早熟:5歳迄に誰の手も借りず1人で魔物を屠り最初のレベルアップを果たした者


効果:レベルアップが早くなる。高レベルになってもその勢いは衰えない。


中々の優良称号。これは有難い。


レベルってのはどんどん上がりずらくなるからな。


あとそれとSP割振りしてスキル取ったら職業選択が出来る様になった。


剣士、槍士、拳士、魔法使い、治癒士、盗賊


この5つだ。


少ないとは思った。盾とか色々あるだろとも。


だがまあ、魔法使いが盾持っちゃいかんという決まりは無いと言うことだ。


恐らくスキルにはちゃんとある。


自分のステータスやスキルと全く関係の無い職業を選んでも何ら問題は無い。


ただ職業別にステータスに補正がかかったりといった特典があるので基本はステータス、スキルにあった職業を選ぶ。


俺は勿論魔法使い一択だ。


魔力に若干の補正と魔法発動時の消費魔力減少だ。選ばないという選択肢は無い。


ステータスとは凄いもので割振りを決定した直後やスキルを取った直後、職業を選んだ直後に魔力が増えるのが分かった。


これはとても気分がいいものだ。


そろそろ寝よう。


空間魔法の空間把握を発動する。


この魔法は1度発動すれば切らない限り発動しっぱなしの珍しい魔法だ。


まあ魔力が無くなれば勝手に切れるんだが。


消費魔力は距離と秒数で変わってくる。


今の魔力で出来る最大範囲は直径1キロといったところか、多分1分持たないけど。


ここは森の中だけあって把握するものが多い。生物に植物、草原だったらもう少しは持つだろうな。


寝るだけなので半径5mで空間把握を使用する。


これなら今の魔力量と自然回復量を合わせれば1夜は持つだろう。



寝ていれば魔力回復量も増加するしな。


それにここで警戒する魔物はゴブリンくらいだ。


足の早い魔物であればもう少し距離が欲しい所だがゴブリンなので5mもあれば起きて迎撃するのに間に合う。


なのでこれでいいだろう。


安眠出来る幸せ。


転生前は考えた事も無かったな。


空間魔法バンザイ。





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