学園生活第一歩
短いですが、続きを投稿します。
今日は登校日初日、昨日の失態を取り返すため頑張らねばならない重要な日である。
毎朝の日課である僕の義手ーカイナの調整を終えて、叔母さんを起しに行くが、僕の予想だと高確率でポ○カリが必要と思われるのでついでに持って行く。
「叔母さん、朝だよ、起きて。」
「うぅーー」
叔母さんの部屋の中からは、獣のようなうなり声が聞こえる。
「叔母さん、入るよ。」
やはり予想通り獣のうなり声は叔母本人であった、多分昨日栞さんに飲まされたせいで二日酔いになっている。
「叔母さん、大丈夫。朝ご飯食べれる?」
「ムゥリィ~~~~~」
「じゃあ、ポ○カリここに置いておくから。もし食べられるようになったら、リビングにおかゆ用意しておくから温めて食べてね。」
「創くん~~~、看病して~~~、死んじゃうぅ~~~」
「二日酔いくらいじゃ死なないよ、じゃあ学校行ってくるから。」
「ハクジョ~~~~モノ~~~~」
手早く叔母さんのおかゆを作り、自分の分を作り食べ登校の準備をする。問題はここからである、昨日は親友と言う名の疫病神と一緒に登校しまったから駄目だったのだ。今日は奴に一切会わずに学園に行かねばならない。
「いってきます。」
まるで蚊の鳴くような声で、挨拶をすると慎重を扉を開けしめる。ここからは僕はスパイのエージェントになりきるのだ。疫病神に見つからず登校するというミッションを成し遂げねばならない。
門をでて左右を確認する、人影なし。最寄り駅まで全力疾走しかし足音は極力抑える。携帯末端のカメラ機能を使って後ろを確認しつつも、人影が現れたら即座に物陰に隠れる。結果徒歩十分の距離を三分で踏破、電車にも滑り込み僕はついにミッションを完遂した。こんなにも達成感のある登校は人生初めてだ。
だが世の中うまく行かないものである。
意気揚々と学園の正門を抜けようとしたとき、僕は見てしまった疫病神またの名を神崎 翔の姿を。
奴は正門に張り付きじっくり何かを観察している、凶悪犯を密かに追うスパイエージェントに見えなくもないが、完全周りからは不審者に見られている。
本当なら無視をしたいが、あいつが犯罪者になり栞さんに迷惑が掛かるのは忍びない。僕は少し考え大きくため息をついた後
「君、何してんの?」
「ひぎゃあああ!」
「うるさいよ、通報される前に止めなよ、栞さんに迷惑が掛かるから。」
「創!いつの間に?!」
「いつの間に、じゃないよ。今来た所で校門に張り付いている不審者がいて、それが関係者だったから止めに入っただけじゃないか。」
「いや、昨日はお前と一緒に登校したのが原因で酷い目にあったから、極力お前に会わないように心がけてたんだが、世の中うまく行かないもんだな。」
「いや、それこっちの台詞だから。」
この野郎、昨日の酷い目にあった原因の殆どがお前じゃないか、多分こいつの事だから殆ど忘れているだろう、便利な頭である。
「もういいよ、ここで口論しあってても昨日のにのまいだ。これからは他人の振りだ、てか他人だから話かけないでくれ。」
「あー、そりゃこっちの台詞だ!じゃあな、あばよ!」
「それじゃあね、とこしえに。」
僕らはそれぞれの授業を受ける教室に行くため別の道を歩き出した。
よっし、これでバッドエンドルートは回避されたぞ。後は同じ授業を受ける中から波長の合う生徒を見つけ、連絡先を交換しちょっとずつ距離を縮めて行くのだ(できれば女子)。
こうして僕は神崎 翔と言う因縁を断ち切り、より良い学園生活を送る第一歩を踏み出したのであった。
これから少しづつ主人公達の学園生活が展開されるので、気長にお待ちください。