狂気に満ちた国
異世界もの……それは、夢や希望に溢れているもの。
そんな、異世界にて希望を抱いていた少年が異世での自分の立場を理解した時、どうなるのか……みなさんの目で見届けてください。
世界が紅く染まったように見えた。
見るもの全て真っ赤で、掴むもの全てが虚ろとなって消えていく……。
「ぐ、ぬぅおおおお……苦しい……熱い、痛いっ!」
感情のままに叫ぶが、そんな彼を助けてくれる存在は今この場に存在しない。
ヘタすれば今もがいているこの床も偽物であるのではないか?
そんな思いの中、彼の意識は混沌の中に消えていった……。
♢♢♢
「……ぐぅ、おおお……お、お?」
目が覚めた彼の目に映るのはさっきとは違う、青い空、蜂蜜色の地面……そして、何より衝撃的なのが。
「犬?いや、猫もいるな……歩いてるように見えるけど……あ、あはは、俺もとうとうあの世に来ちまったか……」
そう思うのも仕方が無い、見るもの全て幻想的で偽物のようだ。
そんなものを信じるのは、平々凡々の御幸には難しい事だった。
「……にしたって、こうして触れる時点で偽物っていうのは無くなった……てことは?つまり??」
御幸は何気に物分りがいい方らしく、すぐに自分の置かれている状況を理解した。
「異世界転生ってことか?」
最初の一言は確認のつもりで、そして二言目に確信して……
「異世界転生キタァァァァァァァァ!!!」
異世界転生という健全な学生であれば誰もが羨むような響きにうんうんと誰でもなく自分自身で頷き、余韻に浸ること一分……彼はとりあえず歩き出した。
絶対に異世界に転生しても魔法とか使えないと思うんですよね私は。