006
またまた短めです。
続けたらキリが悪いので切っちゃいました。
その代わり、多分、次話が長いのでご了承ください m(_ _)m
「エスメラルダ様っ、ご無事でしたかっ」
帰って早々に、キールにまくし立てられた。
憲兵が両親に事情(という名の言い訳)を説明している間、お説教されてしまった。
「エスメラルダ様、 誰にも告げずにお忍びで街へ出るなど何事ですかっ。…ましてや殿下と一緒にいたとは。それに酒場でギャンブルまでしたそうでは無いですかっ!。何か言いたい事はございますか!?……エスメラルダお嬢様」
詰め寄られ、小さくなる私にキールが少し声のトーンを落とした。
キールの顔は真剣だ。
…真剣な顔の時はまだ良い。
目だけが笑っていない笑顔で怒られた時はもう拷問でしかないのだから。
「ごめんなさい」
「二度とお忍びで街へ出るなどしないように!」
「…あはは」
「エスメラルダ様!!」
「は…はい」
こうも簡単に言を取られるとは…。
キールは怒らせないようにしなくては。
…お忍びする時は《幻術》の魔法でも使うかな。
「エスメラルダ様…何を考えていらっしゃるので?」
「…えっ、なんのことかしら」
「いえ…すこしエスメラルダ様が悪い事を考えていらっしゃるように思いましたので。気になさらないでください」
「…ええ、そうするわ」
キール勘鋭すぎる…。
すこし考えただけだったのに。
うーん、演技でも覚えようか、それとも殿下見たくポーカーフェイスでも…。
くるっとキールが振り向いた。
何故か私をみて首を傾げている。
…心を読むとか…サイコメトリでも持っているんですか?キールは。
『ねぇねぇエメ〜、遊ぼー』
『ええ、遊びましょうか。部屋へ戻るわ』
私は怒られた事を頭の隅に追いやると、キールを呼ぶ。
「キール、部屋へ連れて行って」
「かしこまりました。エスメラルダ様」
…そう言えばキールって私の呼び方、統一しない。
エスメラルダ様かエメ様かエスメラルダお嬢様とか、使い分けてるって感じでも無いし……呼びかた迷ってるのかしら。
別に呼び捨てでも良いのに。
『エメ〜ごホン読んで〜』
『いいわよ。ちょっと待ってて』
私は部屋にある小さな本棚から、この世界の神話の絵本を取り出す。
題名は『カリスラトリヌ神記』。
カリスラトリヌと言うのは、この世界を創ったとされている神で、この神に恩恵を貰うと魔法から身を守ってくれるとされている。
『これでいいかしら』
私が絵本を見せながら聞くと、ラルダはコクコクと頷いた。
『じゃ、読むわよ』
一ページ目を開き、文字を目でなぞる。
理解した後、私は音読を始めた。
ーーこれは…昔々の物語。
と。
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