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少し短いです。

読んでくださってる方、ありがとうございます〜〜╰(*´︶`*)╯♡

 ちなみに私がさっきフルハウスを出せたのは殿下ダリウドのイカサマのタネを見破ったからだ。

 このトランプの山、多分買収されているだろうディーラーによって都合が良いような自分勝手な山になっている。

 これでは勝てる勝負も勝てない。


 そこで私は普通それっていて捨てないワンペアを捨てた。

 するとあら不思議。フルハウスだ。

 魔力も少し感じるので、多分魔法で仕掛けが施されているのだろう。


 何と無く魔法の仕組みは分かったが…。

 実は、私は負けても勝ってもどちらでも良い。

 私は憲兵が来るまでの間、殿下ダリウドを見張っておきたいだけなのだから。


 私は静かに手札を引いた。

 何も揃っていないが問題無い。

 一枚、ダイヤのエースを残し捨てる。


「よろしいですか」


「問題無いが?」


 …会話が嫌味ったらしいが、一斉に札をひるがえす。


「スリーカード」


「ロイヤルストレートフラッシュ」


 …イカサマがバレバレだ。

 まず、ロイヤルストレートフラッシュの出る確率は65万分の一。

 なのに、私は一度ここで殿下ダリウドがやっていたポーカーをみていた時にその手札になったのを確認している。


 知ってか知らずか…。

 小さくため息を吐く。


『エメ、ツカれた?』


『いいえ。大丈夫、ラルダ』


『そう?』


 ラルダは少し考え込んだ後。


『それならイイ〜』


 と、笑った。


 私は窓の外を確認する。

 私が屋敷を抜け出してから二刻ほど経った。

 ここに来てから半刻はたっているので少なくとも殿下ダリウドは一時間はポーカーをしていることになる。


 お忍びといえど、ここまで来ると長すぎる。

 私は公爵令嬢といえど、家も継がぬ身。

 だが、殿下ダリウドは第1王子であり、時期国王なのだ。

 こんなところで油を売っている場合では無いだろう。


 さっき窓の外を見た時、憲兵を見つけた。

 引き渡してやろう。

 こんなところに来たということは、殿下を探しに来たに決まっているのだから。


「で、ダリウド。あなたの命令は?」


「…お前の本当の身分と名を教えろ」


 これはこれは。

 …痛いところをついてくる。


「ここでは無理です。外に出ましょう」


 殿下ダリウドは渋々頷いてくれた。

 思うところもあったのだろう。


 外にでたついでに憲兵に引き渡してしまおう。

 うん。必ず。


 店の外にでた私は、小さく早口で言った。


「公爵家が令嬢。エスメラルダと申します…殿下」


「…エスメラ、なっ。お前!」


「では。ーー殿下がいらっしゃいました。そこの憲兵!」


 すると憲兵が走って来た。

 憲兵に殿下を引き渡して私は去ろうと足を踏み出した。

 が、どう頑張っても前に進まない。

 後ろを振り返ると、なぜか私も憲兵に捕まっていた。


「殿下の素行は相変わらずですが…エスメラルダ様。あなたのお父上が困られていましよ。屋敷にお戻りください」


 …なんと。

 変装していたのにバレるとは。

 仕方ない…結構楽しんだし帰るか。


『エメ〜楽しかった?』


『ええ、とっても。ラルダは?』


『ラルダもねラルダもね、楽しかった〜』


『それは良かったわ』


 すると、何故か殿下がこっちを見ていた。

 …いや、こっちでは無い。

 ラルダを、だ。


「なんでしょう、殿下」


「お前…それなんだ。妖精か?」


「…え?」


 っっ!忘れてたっ。

 そうだ、殿下はユニーク魔法『魔眼』を持ってるんだった。

『魔眼』は普通は目に見えない妖精や精霊などを見ることができる目を持つものの瞳をまとめてそう呼ぶ。

 殿下には生まれた時から備わっていたんだった…みんなあまりにも気づかないから。


 私は苦笑いを返す。

 それから指を口に当てて、「内緒です」と耳元で囁いた。

 キッと睨まれたが伝わったのなら良しとしよう。

 私は今度は満面の笑みで殿下に笑いかけた。




 ーー少しだけ殿下の耳が赤かったような気がするのは、私の気のせいだろうか。


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