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ブックマークしてくださった方ありがとうございます。

下手な素人文ですが、楽しんでもらえたら嬉しいです。

 今、私は6歳だ。

 記憶にある通りでいくと、私は三ヶ月前に5歳の誕生日パーティーを行なっているのだから。


 …まだ、殿下とは婚約を結んではいない。

 《プラネット》のゲーム通りだと、殿下と婚約を結ぶのは私の8歳の誕生日の筈だ。


 殿下は私よりも一つ年上だから、今年7歳になるだろう。

 成人とみなされるのが15歳。

 私たちが結婚するとしたら王位継承のことも考慮し、殿下が18歳を迎えるぐらいの頃を予定していた。


 因みにヒロインである姫巫女が殿下ルートで行って、結婚するのが17歳。

 王位継承どこ行った…。


「キール」


「はい。エスメラルダ様」


「魔法を教えて」


「…はい?」


「魔法を教えてと言っているの」


 …やっぱりこうなるよね。

 魔法は悪魔の技術。

 キールは一応魔法を学院で習ったから使えるのだけれど。

 それは、もしものため。

 …公爵家の令嬢が、頼んで習うことではない。


「やはり、先ほど何かーー!」


 一大事だ、と父と母を呼びに行こうとするキールを呼び止める。


「別に何もないわよ。キール」


 ほんのり首を傾げて微笑む。

 エスメラルダは絶世の美女だから、あの腐女子ニートをやってた私ではぶりっ子にしか見えなくとも、エスメラルダがやればただ可愛さが倍増されるだけだ。


 太陽に焼けない透き通るような肌、大きな目は、右目は海にも勝るような青色で左目はエメラルドのような緑色を持つオッドアイ。

 腰まである髪は、太陽に煌めく金髪でカールがかかっており、身体は細く華奢で、モデルや俳優なんてイチコロだ。


「は、はい。エスメラルダ様」


 …でも、魔法の件は振り出しにもどってしまった。

 いくつか魔法の呪文を覚えているが、唱えたところで不発か、暴走をきたすに違いない。

 もっと他の誰かに頼まなければ。

 どうしても無理であれば、独学で行けるところまではやるけど、それでは限界がある。


 …せめて、今やれることだけはやっておくが。


「キール」


「はい。エスメラルダ様」


 …この会話、テンプレなのだろうか。


「書庫へ行きたいわ。つれていってくださらない?」


 …エスメラルダの口調は、上からだ。

 まぁ、よくゲームにいる悪役令嬢口調みたいなものだ。

 それも、限りなく誰に対しても。

 ていうか公爵令嬢だからそれに異議を唱えられる人などいないのだけれど。

 まぁ、流石に陛下に対しては敬語で喋っているが。


「分かりました。お連れしましょう」


「ありがとう、キール」


 だが、別にお礼が言えないわけではない。

 エスメラルダはそれで隠しているのだ。

 自身の心を…永久に蓋をして、ボロが出ないように。

 …私だって、こんなの隠すしか無いと思う。

 怖かったのだ、怯えられるのが。

 化け物と、罵られるのが。

 それの、何がいけないのだろう。




「着きましたよ」


 キールの案内で、屋敷の離れにある書庫にたどり着く。

 大きな屋敷は、案内役が居ないと迷って餓死しそうだ。


 冗談はさておき。


 探すのは勿論のこと、魔道書と魔術書だ。

 魔道書は、グリモワールなどと呼ばれる…簡単に説明すると、魔力と何かを媒介にして使う魔法のこと。

 一般的に魔法と呼ばれているものだ。


 そして、魔術書と呼ばれるもの。

 魔術…自身が何かと契約し魔力と自分自身を媒介にして行う魔法。

 悪魔なら《魂》、天使なら《信仰》、精霊なら《血》、霊なら《生気》など…中には《正気》や《感情》《恐怖心》などと、狂った要求をしてくる者もいるが…まぁ、魔道と比べて危険なのがこちらだ。


 …記憶では、エスメラルダは《血》を媒介にし大精霊である光の妖精ピクシーと契約をしていた筈だ。

 契約をするまでの経緯は分からないけど、出来るようになっておいた方が今後身のためだろう。

 なんてったって、ピクシーはイベント回避に必須なのだから。


 私は本棚から目に付いた魔道書と魔術書を取り出しパラパラをページをめくる。

 そしてその中から、さらに厳選したものだけを三冊抱えると、残りは本棚に戻しキールに「帰ります」と言葉を放った。


 キールは素直に応じると、私を部屋まで送り届けた。

 その後、食事の用意をする為に部屋を出ていった。



 私しかいなくなった部屋で、魔道書と魔術書を開ける。

 それから食事が出来るまでの半刻、読みふけった。

 一通り見終わると、もう一度、今度は魔道書の一冊だけを開き一ページ目に書いてある魔法を唱えて見た。

 火魔法や水魔法だと大惨事になるのは目に見えているので、ここは光魔法で。


「確か…こんな感じで…《ヒーリング》」


 手を前にかざし、《ヒーリング》と、そう唱えると私の手から、白がかった金色の光が出てきた。

 しばらくすると、光は粒子となって消えてしまったが。


「私…やっぱり光魔法の属性を持っているのね」


 私は光の消えてしまった手を見て、そう呟く。

 魔法を使うには、属性がいる。

 魔力持ちは何らかの属性を必ず持っているが、光属性は珍しく魔力持ちの中でも数百人に一人しかいないと聞く。

 私が光魔法を使ったとは、一つの賭けと…光属性のピクシーと契約していたのも踏まえてだったけれど。


 それに、《ヒーリング》は初級魔法で回復魔法なのでもしも属性を持っていなくて暴発しても大丈夫だろうと踏んでだ。

 …あくまでも勘だけど。


 光魔法が使えるとなると、闇魔法は使えない。

 エスメラルダは《プラネット》で一度だけ水魔法を使っていたから、多分水魔法を使えるのだと思うけれど…。


 明日、庭で実験してみよう。

 キールが来るまで、後幾分もない。

 それまでに呪文と用途を頭に詰め込もうと私は必死に魔道書を読み漁るのであった。



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