017
遅くなりました!
ブックマーク、評価、ありがとうございます。
ネット小説大賞とアイリス恋愛ファンタジー大賞に応募させて頂きました。
これからもよろしくお願いします!
さてさて、リトが私のお願いによりちゃんとした家族となって一ヶ月ほど経ちました。
あの後、結局父は役に立たなかったので私が母の部屋に行き、丸め込むことになった。
後、キールと約束した魔法に関しては、リトと一緒に私の部屋に《空間拡張》の魔法を使って秘密に特訓している。
《空間拡張》と言うのは二属性魔法で、光魔法と天候魔法を合わせることで使える魔法だ。
天候魔法は、固有魔法によるものでしか存在せず、過去に合ったものだとリトのような雪属性の他に雷属性、雨属性、晴属性、風属性等が確認されている。
今回は、私の光魔法とリトの雪魔法を合わせて、寒帯気温の空間を創造した。
「エメ姉の魔法って支援系統が多くないか?」
訓練中の何気ない会話で、リトはこんなことを聞いてきた。
確かに私は光魔法をラルダに任せて精霊魔法を使っていることが多いかもしれない。
精霊魔法自体に、支援系統の魔法が多いので自然にそうなってしまうのだ。
だが言っておく。
私は別に攻撃魔法も出来る。
というか、前衛、中衛、後衛統べてこなすことが出来る。
エスメラルダはハイスペックなのだ。
体は細いのに体力はあるし、体は強いとは言えないけど、体力のお陰で病は大事には至らない。
怪我にしたってそうだ。
まぁ、運動神経がいいのでそうそう怪我をすることがないと言うのが現実だが。
ちなみに腕のアザは消えてはいないが薄くなっているような気がする。
時間制限付きの呪詛だったのだろうか。
まぁ、別に犯人なんてどっちでもよかったので気にはしないが。
私は無闇に人を殺したくないのだ。
公爵令嬢に呪詛をかけたのだ。
死刑は免れないだろう。
最も。本人が死ぬつもりだったのかもしれないが。
「そー言えば、殿下との婚約の話はどうなったんだろう」
誕生日パーティーのことを思いだし、無意識に呟いた私に、リトが反応した。
「?…婚約ってどういうこと?」
しかもご丁寧にはてなマークを二つもつけて。
リトは父から聞いてはいなかったらしい。そりゃそうか。
結局どうなったのか微妙だし、伝えるべきでは無いと判断したのだろう。
ラガルハーネル・ザクロ・カーンドラネークル殿下との婚約。
殿下は承諾すると言っていたが、私はイベントのせいでどうなったか伝えられていない。
父も母も有耶無耶にして答えてくれない。
何か、あったのだろうか。
「えーと、それは、ね?私は、公爵令嬢でしょう。それで、私は殿下の婚約者候補となるのだけれど…。私の誕生日パーティーの時に殿下と会って…それで殿下が私との婚約を承諾するとおっしゃったのだけれど…その後いろいろ会って有耶無耶になってしまったの」
うん。この際、正直に告げます。
「エメ姉は、ラガルハーネル殿下と婚約したいのか」
「まさか?、そんなわけないでしょう。私が殿下をお慕いしていると思っているの?リトは」
「いや。聞いてみただけだ」
少し、口調がきついかな、と思ったが、杞憂だったようで、リトは気にせず会話を続けた。
「人間は、判断力をなくして結婚し、忍耐力をなくして離婚し、記憶力をなくして再婚する。これ、ある人の恋の名言なのだけれど。…他人との愛なんてこんなものよ」
「……そうだな」
リトの声が小さくなった。
…リトと私は他人って言う判断なのかしら。
少なくとも、私は…。
「大丈夫よ?私とリトは他人じゃ、なくて家族だから。家族の…兄弟の絆は消えることがないわ」
そう。
人が、死人をも愛するように。
人が、死に夢を抱くように。
天国や、地獄。
そんなものは存在しない。
あるのは《無》だけ。
「ずっと、ずっとよ。私は、リトのこと、ずっと……」
「エメ姉?………………泣いてるのか?」
「え?」
私は、頬を手でなぞる。
すると、何故かでは透明な雫で濡れていて。
視界は歪んで。
それでいて、尚、何故泣いているのか分からない。
泪が濡らすのは記憶で。
まだ……私自身が生きることができるのか分からない。
断罪かも知れない。
ストーリーよりも酷くなった最後かも知れない。
まだ、分からない、けれど。
「大丈夫。俺も絶対離れない」
『ワタシともハナレちゃダメだよ〜』
『…我も共にあろう』
せめて、この手の中にある温もりだけは守ろう。
奇跡を全て集めて宇宙に賭けよう。
この人生を、この命を。
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