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015

連載一ヶ月到達です!

読んでくださってるみなさん、ありがとうございます。

更新回数が少なくなったりと、色々ありますが、どうかよろしくお願いしますっ!

「あんた、誰だ?」


 下町訛りが少しだけ入った、それでも綺麗な声で、彼は私にそう問いかけた。

(中身が7歳じゃない私とはちがい、本当に中身6歳なのに大人過ぎない?と思ったのは秘密)


「私は、公爵令嬢…エスメラルダと申します…失礼ですがルリト君でお名前、あっているかしら」


「…ああ、お前俺の姉っていう。ふーん、結構美人じゃん」


「…ありがとうございます」


 会話をしてみて分かった。

 彼…ルリトの魔力は物凄く不安定だ。

 感情が揺れるたびに、魔力も反応するかのように揺れる。

 まるで、音が振動によって伝わるように。


 しかも、ルリトはそれを無理やり押さえ込もうとするので、余計に強く揺れた時はみ出た魔力が溢れ出す。


 私の魔力は、同じ光属性のラルダと契約したことによって安定している。

 それなら、ルリトにも自分と同じ属性の妖精か何かと契約すれば良いのではないか。


 私は小さな声でラルダに伝え、キラキラした目でラルダを見つめた。

 ラルダは、驚いたあとしばらく自問自答のような事をしていたが、やがて。


『やってみるカチはあると思うわよっ』


 と私にウインク一つ、承諾してくれた。

 じゃあ、まずはルリトに魔法属性を聞き出すところからだ。


「あなた…ルリト、魔力持ちなんでしょ?」


「…!…だからなんだよ」


 …ちょっと怯えちゃってるかな?

 ここは落ち着かせないと。



「怖がらなくて良いわ。私も魔力持ちだから」


「えっ」


「でね、ルリトって魔力多いじゃない?私も自分で多い方だと自負してたけどそれより多いわよね。それでね、私、もしかしたらルリトの魔力安定させられるかもしれないの。この提案に乗る気はない?」


「…どうすればいい」


 おっ!乗り気だ。なら…。


「じゃあ、ルリトの魔法属性教えてもらえるかしら。ちなみに私は光と水と精霊属性よ」


「お前のは聞いてない。……俺は…雪、だ」


「…雪?」


「そう。俺、個体属性なんだ。個体属性って聞いた事ないか?」


 私がふるふると首を振ると、ルリトは個体属性について説明してくれた。


「えぇっと…じゃあな、まず、個体属性ってのは、光、闇、火、森、水、精霊、錬金以外の自分しか持たない属性を個体属性という。ーーここまでは分かったか?」


 コクリ、と頷き視線をルリトに強く向ける。

 個体属性なんて本に載ってなかったんだもの。

 キールは教えてくれないし…逆に独学でここまで頑張った私を褒めてくれてもいいくらいなのに。


「それでな…個体属性を持った奴は魔力が普通より…と言うかまず、魔力持ちが普通じゃ無いんだが…多いんだ。それに、ほんで調べることもできないから制御が難しいって事だ。これで全部だが理解してる…な」


 …ホントにルリト、あなた6歳ですか?

 私もう、実はお兄ちゃんですって言われても驚かないよ、うん。


「…大体わかった。でね?、その魔力の安定させる方法なんだけど…妖精と契約するって言うのは…嫌?」


 多種族…異種族との契約。

 失敗すれば、命を失うかもしれない危険でリスクを背負った儀式。

 私はとりわけ上手く行ったけれど、ルリトが上手くいくかは分からない。


 それでも、リスクは知っているはずなのに、ルリトは直ぐに頷いた。


「やるよ」


「リスクは…」


「知ってる。でも、あんたも契約してんだろ?違う魔力感じるし」


 …魔力で分かるんだ。

 個体属性持ってる人の特典か何か…?


 て言うか、雪の妖精っているのかしら。


『エメ、いるよ、いるよ〜。でも、呼び出す雪の魔結晶いる。空っぽの魔結晶に雪の魔力コメル〜』


 …空っぽの魔結晶…?

 ああ、水晶のことか。

 私は、執務室の前で立っているキールに水晶を。

 クラリーチェには、針を持ってくるように命令する。


 そして、私は、雪の妖精を呼び出すための魔法陣を書き始めた。

 魔力で人は燃えたりしないので大丈夫だろうと踏んでだ。

 しかも、私が結界を張る予定なので充分に安全だと思う。


「ここでやるけど良いかしら」


「…もう、やるのか」


「そうよ。だって、ルリトの魔力溢れ出す寸前じゃない」


「それは…」


 ルリトが反論しようとすると、ノックが鳴った。

 キールとクラリーチェが頼んだものを持ってきてくれたのだろう。

 私はドアを開けた。



 確かにキールもクラリーチェも私の頼んだものを持ってドアの前に立っていた。

 だが、もう一人。

 この部屋の主人…そう、父が立っていた。


「エメ。何をしているんだい」


 笑っているけど、目が笑っていない。

 どうしようかと考えていると、後ろで魔力の動きを感じた。

 後ろを振り返ると、ルリトの魔力が恐怖で膨れ上がっていたのだ。


「…あ……ぁあ」


 …爆発寸前、か。

 しょうがない、魔法を覚えたことまだ誰にも言ってなかったのに。


「精霊魔法《結界》をこの部屋に展開」


 すると、薄い金色の光が執務室を包み込んだ。


「…お嬢様?……それは…魔法では…」


「良いから。キールもクラリーチェも頼んだものを貸しなさい」


 命令とあらば逆らえない。

 キールもクラリーチェもおずおずと頼んだものを差し出した。


「ルリト。この水晶に魔力を込めて…そうすれば少しぐらい落ち着くわ」


 ルリトは、もう何も言う気力が無いのかただ水晶の前に魔力を放出する。

 私がそれを私自身の魔力で水晶に満タンまで込めていく。


「ルリトありがとう。もう大丈夫よ、始めましょうか」


「…ああ」


 おっ、喋る元気は戻ってきたかな?

 私はルリトを魔法陣の前に連れて行き指を針で刺すように言う。

 そうして指定した場所に血を垂らしていった。

 最後にさっき作った魔結晶を真ん中に置きそこにも血を垂らして、ルリトが魔法陣に魔力を、流した。


 淡い銀色の光が部屋を包み込む。

 そうして、その光が消えたときにあったのは、前と同じよう黒くなった魔結晶と…。


『雪の大妖精…スノーキング』


 雪の大妖精スノーキング。

 私のラルダは、光の大妖精ピクシー。

 妖精は一般的な魔法属性よりももっとたくさんの種類があるらしく、その種族ごとにトップがいるらしい。


 それで、ルリトが呼び出したのは雪の大妖精スノーキングだったと言うわけだ。

 トップが召喚されることは滅多に無いらしくラルダも驚いているようだった。


『そなたが…我を召喚したのか』


 ルリトが召喚したスノーホワイトは、瑠璃色の瞳と真っ白な肌をもつ。

 髪は艶やかな雪のようで、雪の結晶の形のピアスをしている。


「そうだ…《血》の媒介と共に俺と契約してくれ」


 すると、スノーホワイトがラルダに気がついた。


『そち…ピクシーか?』


『そだよ〜〜。イマはラルダだけどねっ』


『そうか…良かろう。契約を了承する。その代わり、お前の覚悟を見せろ』


「覚悟…?」


『別に難しい事ではない。少し、我の質問に答えてくれれば良いのだ』


「わかった。質問をしてくれ」


 私の時は《お願い》だったけれど、ルリトは《覚悟》か…本当に人によって代償が違う…。

 私はそっと、成り行きを見守る。


『お前は、もし、死んだ大切な人間を生き返らせる事が出来るのなら、永遠の時を生きる事が出来るか、否か』


 …永遠の時、か。

 私なら…多分恐怖で出来ないだろう。

 永遠の命を欲しいという人は居るだろう。

 でも、考えてみれば恐怖でしかない。


 人は、生きれば生きるほど時の流れを早く感じる。

 自分は生き続ける中、大切だった人はすぐに死んでいくのだ。

 一万年生きれば、一年は、僅か1秒ほどに感じるらしい。

 100歳生きても、1分と40秒という虚しさ。

 大切な人が目を瞑ればすぐに朽ちていくという虚無感。

 いずれ、狂ってしまうだろう。


 私の考えに比例するかの様に、


「…出来ない。俺は、無理だ」


 ルリトはそう答えた。


『…合格だ。少し、血を貰うぞ』


 スノーホワイトはルリトが手を握り締めた事で傷つき血が出てしまった手のひらをゆるりとほどき、舐めた。


『最後に、我に名を』


「いい、のか?」


『ん、何がだ』


「俺と契約して」


『ああ、お前の《覚悟》は確かなものだったからな。実際、質問はなんでもよかったのだ。我の質問に胸を張って否と答えれれば……さぁ、我に名を付けてくれ』




「名前、か。………そうだな。雪の大妖精スノーホワイト。お前の名は…フォルティア・ミーラだ。ちなみに意味は神秘の力だ」


『ああ、良い名だな。よし、我は今日からフォルティア・ミーラと名乗ろう』


 フォルティア・ミーラ…神秘の力、か。

 フォルティアも嬉しそう。そうだっ!


「ねぇ、フォルティアだと言う時長いじゃない?だから、愛称にフィルって言うのはどうかしら!」


「良いな。それ」


『よし、それに決めたぞ』


 そうして3人で笑いあっていると、ラルダが…。


『アノね、エメ』


「何かしら、ラルダ」


『エメのお父様たちのコト、忘れてたりしない…?』


 …お父様…?


 そうだった…ここにはルリトの他に、キールもクラリーチェもそれに、お父様もいたのでした…。


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