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012

遅れました!

学校の部活が忙しくて…(汗)。


ブックマーク、ありがとうございます!

 その夜。

 部屋に戻った私は、怪我に治癒魔法をかけながら今日の事を考察していた。


 まず、殿下への攻撃がナイフではなかった事。

 これはよく分からない。

 イベントが一年早まったからそのせいなのか、はたまた全く別の要因があるのか…。

 謎は深まるばかりである。


 あとは周りの反応。

 なぜか一部の貴族は驚いていなかったように思う。

 まぁ、あの族達は今私の父が拷問しているので直ぐにわかると思うが。


 ちなみにこの時代のこの世界、貴族の拷問はそう珍しい事でも無いので誰もがスルーしている。

 自白剤でもあれば楽になると思うがそれは魔法にしか作れず魔法を否定しているこの国では表立って使う事が出来ない。

 その為拷問は許可されている。


『エメ、魔力足りてる?』


「へ?」


 私は腕を見た。

 そういえばさっきからずっと治癒魔法を、かけているのに一向に治らない。

 それでラルダは気になったのだろう。

 魔力が足りていないのでは無いと思うが。


「どうなのかしら。別にあまり痛いわけじゃ無いし放っておいても良いと思うのだけれど」


『ワタシがマホオかけてみる』


 するとラルダは小さな手から体くらい大きな光をだし私の腕に当てた。

 だが、治る気配がない。

 でも本当に腕の怪我は打撲程度だし、治らない要因が見当たらない。


『呪い?』


 ラルダがそう呟く。

 呪いにも色々あるが…可能性としてはあの魔法の矢に傷が消えない魔法がかかっていたか、もしくは後から傷が消えない呪いをかけられたかのどちらか。


 多分、後者だろうと思う。

 あの森魔法使いは普通に魔法を使ったようにしか見えなかったし、私は光魔法の結界を張っていたのだから。

 呪いは闇魔法。

 あるとしたら私が結界を解いて部屋に戻るまでの間。

 その時、あの場に逃げ出さず居た人物。

 そう考えるとだんだん絞れて来るがまだ足りない。

 情報が圧倒的に足りないのだ。


 というかこれが呪いだという確証もない。

 もしかしたら私の魔力と相性が悪いだけかもしれないし。


「ふぅ、考えてもしょうがないね。寝よっか?」


『…ウン』


「おやすみ、ラルダ」


『おやすみなさーい』


 ラルダがベッドで寝始めたので私もベッドに入り、灯りとして付けていたローソクを消す。

 そして、ズキンっと痛んだ腕を庇うように眠りに入った。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 暗い、暗い。

 ここは、何処?


 何も、何もない。

 私は、誰?


 空っぽ、空っぽ。

 私は、独り?


 誰か、誰か……誰か。


 …私を助けて。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「……っ」


 勢い良くベットから飛び起きる。

 真っ暗で、何もなくて、何も出来なくて、ひとりぼっちで、悲しくて。

 自分の感情ではないとわかっているのに、何故か涙が溢れた。


 ポタリ、ポタリ。

 私の涙が真っ白なシーツを濡らす。


 外を見るとまだ日は殆ど登っていない。

 まだ、起きるのには早すぎたようだった。

 それでももう一度寝る気にはならず、ガウンを羽織り、部屋に付いているベランダへと足を運んだ。


 朝の冷たい風が私の頬を撫でた。

 ゆっくり、ゆっくりと息を吐き出す。

 もう直ぐ冬であるためか、少し吐き出した息が白く見えた。


 太陽と反対側にまだうつっている星を見上げる。

 日本から見える星空と同じ。

 唯一この世界で私が美しいと感じる場所。


「……お父さん、お母さん」


 その呟きは、私の部屋へと戻る足音と共に消えていった。


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