星のすいぞくかん
ここは星のすいぞくかん。
銀河のなかのいろんな種類の星たちが
ふわふわ ふわふわ およいでいます。
黄色い星を指さして、ぼうやが問います。
「ねぇ、まま!あれはなぁに?」
「あれはね、よろこび星よ。あの星にはね、
るんるん星人が住んでいて、いつも喜んでいるの。」
「ほんとだ!ほんとだ!みているとぼくもうれしくなるな!」
真っ赤な星を指さして、ぼうやが問います。
「ねぇ、まま!あっちの星は?」
「あれはね、おこりんぼ星よ。あの星にはね、
ぷんすこ星人が住んでいて、いつもぷんぷんしているの。」
「すごいね!すごいね!ぼくはぷんぷんしていると、すぐに疲れて寝ちゃうなぁ。」
蒼く染まった星を指さして、ぼうやが問います。
「ねぇ、まま!あの星はどんな星?」
「あの星はね、なきむし星よ。あの星にはね、
しくしく星人が住んでいて、いつも涙をながしているの。」
「なんでかな、なんでかな、ぼくが励ましてあげられるかな。」
しばらく歩いて、ふたりはレストランで休憩することにしました。
星くずのステーキ、月明かりのラムネに、彗星のシャーベット。
星の数ほどのメニューのなかから、ぼうやは1杯のソーダを飲むことにしました。
しゅわしゅわ、きらきら、かがやくソーダには、まぁるい氷が。レストランのライトに照らされて、氷は黄色にも、赤色にも、蒼色にも見えます。
虹色にかがやく氷を指さして、ぼうやが問います。
「ねぇまま、この星の名前はなぁに?」
おかあさんが答えます。
「この星はね、『ちきゅう』っていうのよ。」
おかあさんの、やさしい触手に撫でられながら、
溶けることのないその氷を、ぼうやはいつまでもながめつづけていました。
おしまい
ありがとうございました。