私と外の世界
さて、皆さんお外ですよ(*^^*)
「ぶはっ」
甘い、なんか周りの匂いが甘ったるい!
花弁を撒き散らしながら周りを見渡せば白、赤、ピンク、赤紫と多種多様の同じ種類っぽい花が広がる花畑と私の横で倒れるウィニティー・・・。
「ウィ、ウィニティー起きて!ちょっと息してるの!?」
「・・・ぐっ」
体を力任せに揺すれば小さく反応が返ってきた、生きてるっぽい。
うつ伏せの状態で地面に顔をめり込ませているのは可哀想なのでひっくり返して仰向けに・・・リュック邪魔だな。ささっと、リュックを外してから仰向けにする。
これでよし。そういえばウィニティーって、ぬいぐるみだけど私の使い魔になったから呼吸とか食事とか人間と同じような生理現象は必要なのだろうか。試しに呼吸してるかだけ確認するか。
スースー
・・・呼吸はしてるな。じゃあ、食事は?排泄物は?いや、そもそもウィニティーはぬいぐるみはだし、家で話してる時も口にあたる部分が動くことはなかった。恐らくこの体の中身も真っ白な綿だろう。
それにしてもウィニティーってば全然起きないな。リュックは私のバックパックに入れて、本人は私が抱えて移動しようかな。そうと決まればすぐに行動しますか。あ、でも私お母さんがくれた説明書読んでないし、この姿は目立つかもしれないから変装した方がいいか。お母さんは変装道具とか入れてくれたのかな。取り敢えず、ウィニティーのリュックを入れてから鞄の中を漁ろうかな。
「うう、眩しい・・・」
「あ、おはようウィニティー」
「サツキ様?」
「うん、私だよー。お、あったあった」
変装道具探してる間にウィニティーが起きたっぽい、まだボーッそこらへんに飛んでるチョウチョを目というか顔ごと動かして追ってるから寝ぼけてるみたいだけど。それにしても変装道具が帽子とはなんというか定番ですな。それにこれ確かマリンキャップって、言うんだっけ。前にお母さんが見せてくれた写真集に載ってた気がする。実物は初めて見たなー。でも、これなら被っても耳も隠せるし大丈夫かな。ん?これ、なんか魔法が付加してある。魔法陣どこだ。
帽子に付加してある魔法が知りたくていろんな角度から帽子を見る。
むう、外側にはない。ということは帽子の中かな。
ひっくり返してみればパッと見だとわからないように丁寧に帽子の布事態に編みこまれた魔法陣があった。
これ布だよね。毛糸じゃないのになんで編みこんであるのさ。いや、お母さんの魔法関係のマニアっぷりは娘の私でもドン引くレベルなのだ。深く考えるな私。それよりこれ何の魔法陣だろう?見たことないな。
「サツキ様、サツキ様」
「んー?」
「早く移動しよう。ここ臭い」
そういえばこの花、甘ったるい匂いで臭かったんだよね。言われるまで忘れてたよ。
「そうだね。んーあっちに何かあるなー何だろうあれ?」
「街って、奴じゃないの。ヒイロ様の説明書に家が沢山あるところは街か村って、言うところで規模が大きい方が街だって書いてあったよ」
「街?じゃあ、あそこの建物が沢山集まっている場所に人が集まって住んでるの?」
「そうだよ。後、街には店って言うのがあって、お金と交換で色々な物を手に入れることが出来るらしいよ」
へーそうなんだ。本で読んだまんまだ。
私、お母さんとお母さんの使い魔とウィニティー以外の人とは会話したことないから緊張するなあ。でも、行ってみたいし説明書もちゃんと読んでないから心配だな。どうしようか。
「サツキ様、街に行く前にこれつけて」
渡されたのはプラチナの鎖に通された丸く加工された黒いトルマリンのペンダントだった。
むむ、これもなにか付加されてる。
「そのペンダントはサツキ様の猫耳としっぽの認識阻害と目と髪の色を変える魔法が掛かってるから常に身につけて」
ボタンで出来た黒い眼が私の膝あたりから私を見上げている。唯、彼から訴えてくる雰囲気は未知の土地に行く不安な気持ちと私を心配してる感じがする。でも、私を心配してる気持ちの方が強いと思う。
ふふっ、私ってばこんな風に自分の使い魔に心配してもらえて幸せ者だなー。うん、この旅の間に何があろうとも私がウィニティーを守ろう。いや、私以外にこの子を守れる存在はこの世にいない!
さあ、街に行こう。私が明るく振る舞えばウィニティーの不安もなくなるはずだ!っと、そのまえにペンダントを首からかけて帽子を被って、よし準備完了!
「さあ、ウィニティー街に行こうか」
ウィニティーを抱えて街の方に走りだす。
うはっ、モフモフだあ!さすがぬいぐるみ毛皮がモフモフで抱きかかえるとメッチャ気持ちいい!
「サ、サツキ様!?俺、自力で走れるぞ」
「んー?まあ、良いの良いの。細かいことは気にしなーい」
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「うぎゃっ」
ズザザザザザザザザァ
調子に乗ってたからでしょうか盛大に転びました。まあ、転んだと行ってもまだあの匂いの強い花畑にいるから地面でのんきにそよ風に吹かれている花がクッションになったから痛くないけどね。
「うう、ウィニティー大丈夫?」
「俺は大丈夫だからサツキ様は自分の心配してよ」
拗ねながら私の腕の中から心配をしてくれるウィニティー。そんなに自分で移動したかったのか。
でも、私の心配してくれるし本当に良い子だなぁ。ウィニティーの主として精進せねばいけないな。
「サツキ様、何かがこっちに向かってきてる」
「わかった、ウィニティーは動かないで」
ウィニティーの良い子っぷりに感動していると何か来たらしい。気配とか全然しないからウサギらしくその長い耳で足音で気付いたのかな。
腕の中でウィニティーが頷いたのを確認してから転んで倒れていた姿勢から起き上がり、自分とウィニティーの体に着いた花弁を払い落す。
それにしても本当にこの花臭いな。もう少し、匂いが薄ければ良いんだけど甘ったるい匂いが強すぎてどうしても眉を寄せてしまう。それに坂の上ではなかったけどここは甘いにおいに混じって色々な匂いがする。一つ一つはあんまり匂わないけどそれが花の匂いに混じって悪臭を放ってる。うーん、名前は知らないけど小さな花が集まってて見た目は可愛いんだけどな。この匂いはないわ。
取り敢えず、移動しますか。この悪臭は私もウィニティーも辛いし、ウィニティーの毛皮に匂いが残ったらヤダ。それに何かこっちに近づいてきてるみたいだからね。悪意のない生き物だと良いなぁ。
よいせと掛け声一つで立ち上がり、街の方に目を向ければこちらに歩いてくる二つの影。人間かな?一人はたぶん女の人だけどもう一人はなんか違う。男って、奴なのかな?初めて見たなー。
あ、こっち来た。悪意なさそうだし街の情報でも仕入れるか。
『サツキ様、あの二人と話すなら冒険者ギルドがあの街にあるか聞いて』
うわ!?テレパシーか。いきなり声かけられると吃驚するんですけど
『ほら、早く行かないと怪しまれちゃうよ。ちゃんとフォローするから早く行って』
うむ、人使いが荒いな。まあ、良いやフォローしてくれるなら話しかけてみるか。
「こんにちは」
「可愛いお嬢さんこんにちは、ぬいぐるみを抱いてどちらへ?」
かかかかかかかかっ可愛いお嬢さん!?私を可愛いお嬢さんだと!?恐ろしい、さらっと相手を褒めるだなんて男とはあなどれんな。
『いや、違うだろ』
なんかウィニティーが言ってるけど無視!今は落ち着いて情報を引き出さねば。
「あそこの街に冒険者ギルドはありますか?」
「あら?貴女、どこから来たの?ヘッタナを知らないってことはアガパンサスの南の方から来たのかしら?」
アガパンサス?国の名前かな?んーこの世界のこと何もわかんないし記憶喪失にしてそこの花畑にいたことにしようか。
「えっと、ここから少し西の方の花畑なんですけど起きたら名前以外何も覚えてないんです。あ、冒険者ギルドに行こうとしていたのは覚えているのでそこに行けば何か思い出せるかなって・・・」
ここで下を向いて、落ち込んでるような雰囲気を出す。そうすれば物語だと相手が同情して何か教えてくれるんだよね。
「そう・・・」
「・・・苦労したんだね」
え、どうしよ。なんか思ってたよりも同情されてる。男の人なんて労わるような眼で見てくるし。他人との会話経験が少ない私にはこの空気を打開するスキルは無いし、誰かなんとかしてくれ。
明日、もう一話投稿します。
予告詐欺ではないので安心してください。
3月27日編集
ヘルン⇒ヘッタナ




