4 私と使い魔3
お待たせしました。
目が覚めた私の前には夢の中でウィニティーを蹴り飛ばした毛玉がいた。
「よう、サツキ様」
いや、そんな軽く挨拶されても寝起きで頭の働かない私にどう対応しろと
「サツキ様、体大丈夫か?痛いところとか体調悪いとかないか?」
意外に面倒見が良いらしい。面倒見のいい兄貴分的な感じ?今も色々質問しながら私の体を起こして背中にクッションを置いてと甲斐甲斐しい世話をしてくれている。
「えっと、大丈夫だよ。どこも痛くないし体調が悪いってこともないよ」
「そっか、じゃあヒイロさん呼んでくるな」
と言って全く音を立てずに慌ただしく出て行った毛玉。因みにヒイロは私の母親だ。
「取り敢えず着替えた方が良いかな?」
クローゼットから赤のチュニックと長袖のインナーと黒のボトムを出して着替え終えるとノック音がした。
「はーい。着替え終えたから開けても大丈夫だよ」
そして引き戸を開けると予想通り毛玉が入ってきた。着替えてる途中ぐらいからそれっぽい気配があったけどちゃんと気づいて待ってるあたりこいつ優秀なのかな?って思う。取り敢えず毛玉呼びはやめてあげよう。さっき色々世話してくれたしね。
世話と言えばウィニティーって、どうなったんだろ?たぶん、私が部屋で寝てたのって使い魔召喚の魔法関係で気絶したと思うんだよ。
あんまり覚えてないけどウィニティーのシルエットは見たと思うんだよね。あ、でも私が想像していたウィニティーよりもサイズが小さかった気がする。私が創造したのは130cmくらいのウサギの獣人みたいなぬいぐるみをイメージしていたんだけど実際に召喚したときに私が見たシルエットはもっと小さかった気がする。はっきりどのくらいかはわからないけど私が抱えることが出来そうなぐらいの大きさだったと思う。・・・抱える?
「サツキ様、ヒイロ様がリビングに来てほしいって」
「・・・」
「サツキ様?」
「・・・あのさ」
「ん?」
「あなたウィニティーよね?」
「そうだけど」
確認をしてみたらやっぱりウィニティーだった。
そして聞かれた本人は「何で今更そんなこと聞くの?」みたいな顔してる。いや、ぬいぐるみの表情がわかるって自分で言ってて、おかしいってわかるけど本当にコイツはそんな感じの顔をしている。これもコイツが私と主従関係を築いているからなのかな?
「サツキ様大丈夫か?気絶する前のこと覚えてる?なんならヒイロ様には俺が要件聞いておくからサツキ様はもう少し休んだ方が良いんじゃないのか?」
私が黙り込んだの心配させたようでもう少し部屋で私を休ませようとしてくる。その気持ちはとっても嬉しいが見た目は私が創造しただけあって、私好みの可愛いウサギの外見で私のことを気遣ってくれる。オマケになんか私に対する雑な口調の敬い方がメチャクチャ萌える。
内心、見悶えつつもウィニティーに悟られないように安心させるためにしゃがんでウィニティーの目線に近づき笑顔を浮かべる。
「大丈夫だよ」
「そうか?」
「うん、私が創造していたウィニティーよりもずっと可愛い使い魔が現れて少し驚いただけ」
「・・・可愛い」
「うん!とっても可愛い私の使い魔さん」
「・・・」
あれ?だまちゃった。もしかして可愛いは禁句だったかな?
でも、可愛いのは事実だし、私が創造した本来のウィニティーは『見た目が可愛いのに気品溢れる紳士的なウサギのぬいぐるみ』なんだよね。だけど今、私の目の前にいるウィニティーは見た目は同じだけど私が創造した本来のサイズよりかなり小さい。そして性格も紳士っていうよりも兄貴の方があってると思う。まあ、外の世界でウィニティーが兄貴のイメージで通るかはわからないけどね。私に価値観とか発想は殆ど小説の受け売りだもん。
「サツキ様」
「ん?」
「・・・いや、なんでもない」
「そう?」
「それよりヒイロ様のところに行こうよ」
「そうだね。早く行かないとお母さんに怒られちゃう」
そして私とウィニティーはお母さんが待つリビングに向かった。
向かった先・・・つまりリビングなんですけどね。
何故、私を呼び出した人物がいないのかな?
オマケに
『 新しい術式を思いついたからテーブルの上のものを持って今日中に家を出てね☆
PS:下界のことについては一緒に置いてある説明書を読んでね。
ヒイロより』
なんですかこの手紙・・・。
マイペースも程々にしてほしいんですけど・・・娘の旅立ちに対して「さっさと行け」は無いよね!ここは泣きながら「病気に気をつけるんだよ」とか「怪我しないようにね」って見送るんじゃないの!?
うわーもう勘弁してよ。お母さん、自由人すぎる・・・。
どうしよ今日中に家を出ろって、お使いのことだよね。なんか外の世界には行きたいけどこの手紙のせいでやる気が失せちゃった。
ペタンとその場に座り込んで後ろにいるウィニティーにお母さんの書き置きを渡す。
「・・・ヒイロ様に普通を求めちゃ駄目なのか」
「普通?」
「本に出てくるような旅立ち前の主人公と両親の会話みたいな―――――」
「具体的に」
「道中気をつけろとか危なそうな雰囲気の人に近づくなって台詞をサツキ様に言って、その後に俺にヒイロ様が『サツキのことお願いね』って言ってほしかったです」
「・・・ウィニティー、アンタ私の使い魔だわ」
「は?」
ここまで見事に思考が似てるとは思わなかった。もしかして無機物の使い魔たちは主と思考が似てくるのかな?
次話はおそらく来月になると思いますが来月は出来るだけ沢山投稿したいと思ってます。
亀の歩みですが読者の皆さま今後もよろしくお願いします




