第5話 終わった後で…
「あなたも少しはその後ろの警備員から聞いたのではないですか?」
俺はその時警備員があの饒舌に語っている場面を思い浮かべ、首を縦に振った。
「ダンカン様は期待しておられました。
勇者が書いたとされる直質の本がこの家にありまてそのほんにはさらに、自分の他にこの世界に召喚されるかもしくは転移、転生してくる可能性があるできるなら力を貸してやって欲しいと書かれていたので会えるのを楽しみにしておられたのです。
そしてできるなら力を貸して欲しいと」
「ッグス…たっ大変だったんですね…」
俺は場の雰囲気に呑まれて泣いてしまった…
(これは泣けるなぁ…ん?あれ?バルマさん以外全員泣いてるじゃん⁉︎
というかなんでバルマさん少しも泣く気配すらないの⁉︎しかも今目が合ったら微笑んでいましたよねあなた感情ないの⁉︎)
と心の中で叫んだ。
「まぁ…実を言うとこの厳つくなったこの顔も暗殺されそうになった際に負わされた傷の跡が主なんだ。
その本に書いてあったことの続きなんだがどうやらその勇者達は後から来るかもしれない異世界人に対して伝言を残して行ったらしいんだ。
これは一部の教会の者と本を読んだ者しか知らないことだがな。
いや、今日は話せて良かった。私はこれから溜まった仕事を片付けてしまわないと。また時間が空いたら会って欲しい今度はもっとゆっくりと話したいからな」
するとバルマさんが、
「ダンカン様、残念ですがあなたがここ最近疲れたと申しておりましたので少しばかり書類仕事が溜まっています。
当分個人的に会うなら今からでもやっていただかなくてはなりません」
ダンカンさんはやる気に満ちていた顔から一転して絶望の表情に変わった、どうやら頑張ればすぐ終わるぐらいの量だと思っていたらしい。
「そ、そうか。
坊主いや、京介君後は私は着いて行けそうにないからなこれだけは言っておく私はきみの味方だ困ったことがあったらいつでも相談して欲しい、そしていつでも私の所に訪れて来てくれて構わない」
すると後ろにいた警備員さんが
「おい、京介行くぞ!」
「はっはい! えーとありがとうございました!」
そう言ってドアから出ようとすると中にいた3人が少し笑いながら見送ってくれた。
「これからどこに行くんですか?」
「ああ、話に出てきた通りお前は今から教会に行ってもらうまぁちょうどいいからリンちゃんの所がいいかな」
「えーとなんで教会なんですか?
それにリンちゃんがなんで教会に?」
「あぁ言ってなかったっけ?教会の聖女像の所に残したらしいんだ伝言をな、リンちゃんの方は母親がある教会のシスターだからな教会に備え付いている部屋で暮らしているのさ」
俺はびっくりしながらもふと警備員さんの名前をまだ聞いていない事に気付いた
「そう言えば、警備員さんの名前はなんていうんですか?」
「そう言えばまだ名乗ってなかったな、俺の名はレグロだよろしくな」
「はいこちらこそ、よろしくお願いします!」
そう言って俺は新たな出会いを感じつつもこの異世界も最初は来たのを絶望したが、そうなんだかんだ言っても来てしまった以上この世界を楽しもうそう決意した。
場面は変わって先程までいた部屋の中では…
「まだか…まだ追加されるのか?」
「はいまだまだありますよ今迄休んでいたぶんこの部屋に散らばるほど沢山ありますから観念して張り切って下さい」
「フフフッ」
「それはそうとあの事はあの少年に伝えなくてよかったのですか?」
「ん?…ガリガリ…あっ!忘れてた!バンッ今すぐ伝えなくては」
「いえ、お待ちを」ガシッ
「痛ッ」
「まぁあの少年がもう帰れないと今知っても、後で教会で知るでしょうから別に今行く必要はないでしょう
それはそうと今逃げだしましたね?
言った通り今日は就寝まで休みなしでやって頂きますアナこの縄で縛るの手伝って下さい」
「おいっバルマッお前今その縄どこから出した⁉︎というより止めろッわかったやるやるから」
「ハァ…あなたがやると言ってやった試しがありますか?せいぜい部屋半分くらいでしょう。それにあの少年とまた会いたいのでしょう?なら許可が貰えるよう頑張らなければ」
ダンカンはその時
(えっお前の許可が必要なの⁉︎というより半分じゃダメなの⁉︎いやそれかなり多いよ⁉︎いやあの少年ならまた来る必ずッ!許可など貰わなくてもいいのでは…)
と考えていると…
「ふぅ…終わりました」
「えっ何これ椅子に体縛りつけられてるんだけど。
しかもこれ普通じゃないし⁉︎」
「ええッ魔法を組み込んでみました」
「なっ」
「ノルマを達成したら解放しますから、後で見に来ますね」
(あっ後で…だと…!)
「ではアナお茶でもしに行きましょうか」ガチャ…
「いいわね。ご一緒致しますわ」
「いや待って!俺も腹減ったから、待って〜‼︎」
2人が過ぎ去って行くなか部屋では叫んでいる1人の男がいた。