第75話 そしてその男性は…
スタスタ…ヌッ「おうっ、どうしたよそんな神妙な顔をして…お前らしくもない」
京介から大盛りに乗せられた焼きそばを片手に商業ギルド周りを囲んでいる集団から離れた男性に建物の横からいきなり現れたかのような気配の薄さで、黒色の服をきた男性はそう言った。
「なぁお前どう思う?」「どう思って何をだよ」
「今のこの俺たちの生活についてだよ…」「そうは言ってもな…もしかして今更お前なんか今の現状に不満でもあるのか?」「…それはまだ言えないが」
「はぁ…どうしたよ一体、お前らしくもない!そりゃ
一般の人から見れば俺たちの仕事は悪い印象だろうな、それに仕事柄いつ死んだっておかしくねぇ…だけどそれが俺たちの人生ってもんだろ?なんだ今更どうこう言ったって何かできるわけでもない諦めな、それにそれはお前自身昔に言ってたことじゃないか」
「まぁそうなんだけどな…俺思ったんだよ」
「はぁ…まだ言うか?お前ちょっと今日変だぞ??
今回の任務だってまだ全然終わってないんだそんなことを考えている余裕があったら任務をどうやって達成するか考えてくれ」
「これ、食べてみないか?」「ん?おっ!飯か⁉︎さっきからいい匂いがしていたと思ってたんだ。
よかったよここ最近任務のことばっかりでゆっくり飯を食う時間すらないからな!いや〜いい匂いだなぁ
じゃあ本当に食べていいんだよな?これ」
「ああ勿論食べてくれ」「じゃあ…いいんだな?食うぞ?食っちまうぞ?」「煩いな早く食えよ」
「はぁ…」パクッ…「なんだこりゃ⁉︎ウメェ…‼︎」
「だろ?」バクッモグモグ…「ウメェウメェ!こんなウメェ飯なんていつ以来かな…」パクッ…
「俺が1番最近食べたのは前にあったあの調査の際に出された夕食だな、まぁその飯もこの飯に比べれば霞んじまうが」
バクバク…「そうだなぁ俺もこんな飯は食べたことなんかねぇよ、これ本当にもらってよかったのか?高かったろ?」
「…俺がこれから話す話にも関係あるんだがその飯
いくらすると思う?」
「そうだなぁ…安く見積もっても10000バルはするんじゃねぇのか?この量この味だからな」「500だ」
「は?」「500バルだよたったな」
「この飯が500バル⁉︎おいっ…冗談キツイぞこの時代この世の中にこの料理が500バルって自体ありえねぇのにこんな美味い飯がそんな端金で食べられるだと?一体どんな方法で…いや無理だなどうやっても赤字は確定だ、そんな安くちゃ元なんか全く取れるわけねぇ」
「俺はこの料理を食べてそしてその料理人と話して思ったことがある」「…どんな?」「…それは話せないがあの人はどうか無事であってほしいって思うんだ」
「…」「なぁ…他のこの街に来ているやつ連れてあの料理食べて来い、今までの考えが変わるぞ」
「変わったさ」「うん?すまん小声で聞き取れなかったもう1度言ってくれ」
「変わったって言ってんだよ!はぁはぁこの料理そしてその料金を聞きゃわかるさその人物がどんなバカな奴ぐらいかなんてな、だがどうするってんだ?俺たちは下っ端じゃねぇが上っていうほど上でもねぇぞ?」
「まずは味方を増やす、それからだ」
「…だからこの街に来ている部下たちに飯を食って来いと?」「そうだ」
「わかったよ!いいじゃねぇか、前から思ってたんだ…上の奴らにひと泡吹かせてやりてぇってな!」
「まだそうとは決まったわけじゃないぞ?」「ははっ‼︎何を今更…どうせそんなことをしてりゃいつかはことが起こるさ…」
(あの少年はいつか大きな事を起こしそうだ、そう感じるいやそう感じてしまったかな…
俺のこれからの人生はこの出来事をきっかけに大きく動くだろう、願わくばこの選択がいい道になるよう祈るばかりだぜ!)
一方少し戻って京介は…
ジュワァァ!「熱…はぁ!なんでこんなに料理を作るはめになるんだ⁉︎」ジュウジュウ…
俺がこんなにも沢山の料理を作っているのには訳があった…
俺があの男性を見送った後…
「よしっ作り始めるかな!」俺は次の焼きそばを作り始めた。
その横では…「はぁはぁ!(この料理を皿によそるのは全然楽だ、だがその人数と料理を作る際に出る熱のせいでこの周辺だけ異常に暑い‼︎それによそるだけじゃない他にも金の会計や皿を洗ったりしなきゃいけないし…やること多すぎ‼︎はぁ…まだ中を手伝った方が良かったかもな)「次!早く頂戴!」はい!只今!」
その長蛇の列では…「おいっ!お前!ちゃんと並べよ!」「あ?並んでるだろ?」
「あ?じゃない!俺の前に割り込んだだろ⁉︎」
「割り込んでなんかいねぇよなに勘違いしてるんだ?」「なんだと‼︎」と喧嘩になる場面も多くあったが…
「はいはい喧嘩はそのぐらいにしてね〜!それ以上喧嘩するんだったら…今度はここじゃなくて牢屋でしてもらうことになるけど?」という感じで警備隊の人達が即当事者達を拘束していた。
「チッ‼︎わかったよ…」「フゥ…」
その後もこの人気なのでかなりいろいろあったが警備隊の人達の活躍によりトラブルは即鎮圧された。
チャリ「はいよ」パシ「おおっ!いい匂いだ…食べるのがもったいねぇ‼︎だけどよだれがトマらねぇよ!くそっ!もう我慢できねぇ‼︎」モグモグ!「〜〜〜〜‼︎うんめぇ!なんだこりゃ!物凄くウメェ‼︎」バクバクモグモグ…
「はい次の方〜」「本当に500バルなのか?」「ええ500バルですよ」
「いくつまで頼めるんだ?」「1人一つまでです」
「ええっ⁉︎もう少し…もう少し多く売ってくれないか?そんなんじゃ満足できねぇよ‼︎」
「そうは言われても…この人数ですからご協力下さい」「…はぁわかったよこの値段だしな文句は言わねぇよありがとよ」
「ふぅ…」
俺はそういったやりとりが多いのを見てどうにかして
この大人数の客にすぐできる料理を振る舞うことはできないのかと考えた…そこでピーンと思いついたのがポップコーンだった。
ポップコーンならすぐ作れるし量も多いから結構いいんじゃないかと思った俺はさっそく人手をもっと集めてもらい他の料理を手伝ってもらった。
(ポップコーンを作りはじめてからできるまでは早いのだがそれ以外例えば焼きそばや豚汁などの料理をどうやって作るのかという説明の方が時間がかかった)
俺は人に見られなそうな場所で日本に1度転移してポップコーンを作るための材料などを買っていったそして買い終わったので元の異世界に転移した。
俺は早速フライパンを用意して油とバターポップコーンを入れて蓋をし中火にして揺すっていくと…
大きな音でポンッポンッパチパチッと沢山音がし出してきてその音を聞きながら揺すっていくと…少なめにポップコーンを入れたつもりだったけどかなりフライパンいっぱいになるまで膨らんでいたその上塩を少し振りかけてさらに揺すって粒がほぼ全部膨らんだことを確認して
焼きそばの少し横で売ってもらうことにした。
「これは?なんですか?」「これはポップコーンっていう食べ物ですよ、結構美味しいですから売ってください」
「ちなみにいくらで?」「うーん…150バルでお願いします」
「150バル⁉︎こりゃまたすごい値をつけたな…だけど
150バルは止めとけ」「?なんでですか?」
「食べ物で150バルだときりが悪いからなせめて…
200!200バルにしとけ!な?」
「うーんわかりましたじゃあ200バルで売ってください俺はまたどんどん作りますから」俺は納得できなかったが仕方なくそれを受け入れた。
「よしっ!任しとけ!」「お願いします」
「さて、作りますか!」俺はポップコーンを作る作業を開始した。
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俺はこの港街に暮らすただの一般人だ、今回のクラーケン襲来で住んでいた家も壊されそれからも空腹と恐怖という最悪の状況の中で何日も過ごした不幸な男だまぁと言ってもこの街には俺と同じような目にあった奴は他にも結構いるらしいからな…はっ!
それでもクラーケンが来たその日に家を壊され財産のほとんどを失った俺はこの街でもかなりの不幸人だと思う、そんな俺があの料理に出会ったのは本当に今でも運命だったのかなと思う。




