第8話 悲しい過去…
そう言って太い声の男性は喋り始めた。
「まず俺の自己紹介からと行こうか、俺はガスターこのリン様の親衛隊の隊長だ!
そしてリン様のファンの纏め役でもある!」
「まじかっ!俺はお前がリンちゃんの父親か何かだと思ってたよ…」
「なっ何を言っているんだ俺みたいな子供が見たら泣いて逃げて行くような奴がリン様の父親な訳ないだろう⁉︎」
「やっぱり自覚あるんだ…」
そう俺が呟くと、男性は
「なにをっふぅこれ以上いいあうのも時間の無駄だな、それに俺が父親な訳ないだろ雪花様の父親は…」
俺が(きっ聞こえたのかよ!)
そう思っていると…雪花さんが
「ガスター待ってそこからは自分で説明するわ」
と、まだ雪花さんは顔を少し赤くして、喋り始めた。
因みに《俺と目が合ってちょっと色つきが増したような気がした》
「リンがあなたを見て驚いたのはこの子がダンカン様と同じく勇者のファンだったからよ。
それはこの子の生い立ちに関係する…
雪花さんは辛そうに苦しそう顔をしながらその続きを喋り始めた。
この子の父親ゼクスと私が出会ったのは私の知り合いからゼクスが経営する酒場だったわ。
あの時は全然魅力なんて何一つ感じていなかったけどその知り合いあぁその知り合いっていうのはロッテっていう女性の冒険者のことよ。
ランクは今は確かSに近いAランクって聞いてるわ。
ロッテとは長い付き合いで彼女がDランクの頃から治療師として彼女を治していたわ。
そういえばまだ言ってなかったわね一応これでも私は教会でも名の知れた回復魔法の使い手なのよ!
まぁそんなこんなで彼女とは親友とも言えるほど長い付き合いで、あの悲劇で彼女には本当に謝罪させちゃったけど…
コホンッ!じゃあゼクスとの話に戻すわよ。
始めはなんとも感じなかったけど結構長いこと遠征出ていたロッテが帰ってきてからというもの、よくその酒場に行ったのよ。
人も少なくて静かだったしね。
何度も行くうちにその酒場の店主であったゼクスと話すことも増えてきて恋愛感情が浮かんできちゃったのよ…
そこからは長くなかったわ少ししてめでたくゴールインそれから1年半ほどしてこの子が生まれたわ。
でもそれから1年ほどして彼は子育てのストレスから酒や賭け事に嵌っていってしまったのよ。
毎晩酒臭くなるくらい酒を飲んで帰ってきてね…
それから少ししてだったわ彼が借金をしていることを打ち明けたのは…
それもなかりの額、私は2人で協力してなんとか頑張ろうって言って彼も頑張り始めてくれたわそして酒も賭け事も回数は全く無くなったわ、私は若干期待したの、
(このままいけば最初の頃のように楽しくそして2人、いえ3人揃って仲良く暮らしていける日が戻ってくるんじゃないかって)
…でも…
それから少しして彼が慌てた様子で家に帰って来た日のことだったわ。
私が「どうしたの?」と彼に聞くと彼は、
「酒場である人からいい条件で誘われたんだっ!お前が秘書にそして俺が執事にって仕事に慣れるまでの金や借金の金は全部払ってくれるってさ!」
「それはどこの人?」
「ほらっお前も知ってるだろほらっ、あのアクアグリーン街の領主の…」
「ハイオク…」
「そう!それっハイオク様の使いの人が言っていたんだ、こんないい条件はない。
行こう!ハイオク様の元に!そしてまた2人でやり直そう!」
「でもっ!…ハイオク様は悪評がとても多いし…
それに子供リンのことはどうするの?」
「そんなの噂じゃないか大丈夫だよ!
リンのことは諦めよう…
ハイオク様は俺たち2人と言っていたからどこか孤児院にでもあづかって貰うんだ…なっ?
俺はお前が好きなんだっ!…また2人で一緒に暮らそう…」
「嫌よ!ねぇあなた2人で頑張れば借金くらいすぐ返せるわよこの街で頑張りましょう?」
「…っ‼︎なんだと⁉︎俺の言うことが聞けないって言うのか!
そうか!あの子か!あの子のことが心配でなのか!
ならここで殺してやる!」
私はベッドで寝ていたあの子を守ったわ、何度も覆い被さった私を殴った彼は、
「ハァハァ…ならいいもうかってにしろっ!
俺一人で行く…好きにするんだな」
そう言って彼が出て行って暫くすると周辺で大声を聞いて通報した人がいたのか、ロッテや警備隊が家に来たわ。
ロッテは
「あの野郎よくも雪花をブチ殺してやる」って言って出て行こうとした。
それを私が「いいのよ放っておいて」って言って気絶したからあの人は…
ロッテに殺されず街をフードをかぶって出て行ったらしいわ…
確かにひどい父親だったけどあの人にも優しかった時はあったし、いい父親の時期があったから更生してまた帰って来て欲しかったけど…
私と彼のことを知っている人がそのアクアグリーン街に犯罪者として処刑された彼を見たらしいわ。
おそらく私が目当てで彼はついでだったんでしょう。
それで役目も果たせなかった彼は死んでしまったというわけよ。
その後はなかなか大変だったわ…
借金返済の為に治療しまっくったし、でも息抜きも出来ない苦しい時白状すると私はその時生きるのに絶望しかないと生きていくのに嫌になったわでも、そんな私を救ってくれたのが…
リンとロッテと街のみんなだったわッ」
【雪花さんは我慢できず少し泣いています
少々お待ちください】
「ごめんねちょっと待ってねッ…」
「はい…」
グズッ……ズズッ…
「ゆっくりしてからでいいですよ」
「ええ、ふう…ありがとうもう大丈夫。
じゃあ続けるわね?、まず私がリンに救われたのはまぁこの子の笑い続けるその顔と声に自然に私も笑顔になれるように少しずつなってきたし、この子を守りそして育てる!っていうふうに目的が出来たのよ生きるねそうしたら活力がなんとか出てきたわ。
私が言うのもなんだけどその当時のわたしは酷かったと思うわ顔も体も、ゲッソリとやつれて隈も酷くてさらに凄く痩せてしまったわ。
そして私を救ったもう3つのうち1つ。
ロッテが私を励まし続けてくれたことね。
彼女には苦労をかけたわ、なんたって依頼そっちのけで私に付いてくれたから…
ほんとこれ程頼もしいと思ったことはないわ。
そして最後に街のみんなね。
みんな私そしてリンの為になんと、募金までして金を集めてくれたわ。
その他にもロッテが声を掛けて賛同した探索者達がそれからというものいつも狩場にしているところより危険が多い所に行って狩ることが多くなったらしいわ。
もちろん怪我人は大勢出たけど皆んな私のことを信頼して治してもらいに来たわ。
仕事量が増えたから大変だったけど…
みんなの私に稼がせるっていう気持ちが嬉しかったわ本当に。
更にそれは意外な効果を呼んだの、元々この街は領主の人徳そして規模がデカイから稼げるっていうことで探索者の数も質も非常に高いんだけど。
その死ぬ一歩手前で探索、狩、戦い続けた結果質が以上にその高水準を更に上回ったのよ。
領主様はその結果に大層驚かれて私に感謝を伝えに直接来たわその時は本当驚いたわよここの領主は普通じゃないけどまさかね…とね。
でリンは凄く小さな時に父親を失ったって訳私の責任でね。
私もそうだけど教会の関係者特に回復魔法や魔法に優れた人は聖女様や勇者様の血が濃いとされているわ。
その血を濃く受け継いでいるの私とリンよ。
だからリンも魔力が強いのリンもそのことを知って私が処分される前に残しておいた勇者に関して綴られていた本を貸したらはまっちゃったって訳。
あの子ったら来る日も来る日も勇者様勇者様って言っていたのよ」
《そのリンちゃんの話の最中リンちゃんと目が合うとリンちゃんの顔が赤くなったり自分の話をされて恥ずかしいのか俯いていた…》
そんな訳でこれにて昔の説明おわり!
後は貴方を最初見た時の話ねこの子ったらファンの誤解を解いた後私に、
「ねぇお母さんさっきの人見た⁉︎
黒髪でしかもあの格好絶対勇者様と同じ異世界から来た人だよ‼︎あー会いたいな〜」なんて言ってたのよ〜!
そうだ!貴方名前は?」
「京介 拓真と申します」
「いいのよ?そんなに堅くならなくてももっと普通に話してもらって結構よ?
じゃあ言うわよ!拓真君!貴方今住む所あるの?」
「い、いえ」
「なら、貴方ここに住まない?」
(やっぱり話の流れ的にそう言ってくると思ったけどいいのか?一応俺男だぞ?女性2人暮らしの家(教会)にたった一人男が…しかも2人とも綺麗なのに…いいなそれ!やっぱり住めれるように話すか?)
「ちょっとお母さんまさかダメだよ〜」
「なに?別に良いじゃない部屋もまだ余っているし
いいじゃないまさか嫌なの?」
「リンちゃんもこう言ってますし自分は別にいいですよ、どこか宿にでも泊まりますから」
こう言っとけば…
「う〜嫌なんかじゃないよ!お兄ちゃんも泊まっていきなよ」
(グハッ!まさかの顔が赤くなった美少女からのお兄ちゃんコール?
うわっ天国かよ…ここ…今死んでもいいんじゃね?
いやっまだだまだやれる!
泊まるんだぞ?それなのに死ねねぇよ!)
「あ、ああ折角だから住ませていただきます。
どうぞこれからよろしくお願い…
「ちょっと待った!さっきから聞いてればなんて話してんだ俺は許せないなっ!」
「エッ何で⁉︎ガスターさんじゃない?」
「ふふふッ、それは魔法具でわたしことロッテがその姿に化けてたって訳よ!」
「スゲェ!」
「私は認めないぞっこんなフニャってした男と!一緒に!住むなんて!」
「ふーん…じゃあ、貴方も一緒に住めばいいじゃない?」
「なっそれは…ふんっ!確かにな!安心できるまで一緒にここに住まわさしてもらうわよ!!」
「ええっいいわよいやーここも賑やかになりそうね〜!」
…ニコニコ
雪花さんはとてもいい笑顔でそう言った。
「お母さんここに来てもらった本題に入ったら?」
「あらっそうねっ京介君貴方には奥にある聖女像の間でお祈りをしてもらうわ。
伝承ならそれで伝言を受け取れるはずっ!」
「じゃあこれ以上遅くなるのもアレだし…
早速行くわよ」