表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

シュークリーム

「しっつれいしま~すっっ! 尾山さんいますか~?」

テンション高いな、この野郎!!

はっ! ワタシハナニヲイッテルンダ!?!?

「い、いるよ~」

平静を装って、寧宮のもとへ……。

「ご所望のシュークリームでござりまする」

「いつの時代の人間だよ」

立て膝をついて、コンビニの袋を差し出してきた。

「ありがと」

私が袋を受け取ると、寧宮は「宿題のためなら」と唇をかみしめながら走り去る。

宿題のためならって……。

彼の言葉に苦笑した私は、遠くなっていく彼の背中に大声で叫んだ。

「部活頑張ってねー」

「おーう」

振り返らずにずっと前を向いて手を振る寧宮は、教室での彼とは違う私の知らない姿に見えて、ちょっと遠く感じてしまった。


「Hello、みんな~! 俺がいなくて寂しくなかった~?」

キラキラオーラを振りまいて、みんなに手を振るユウセンパイ。(結果、すべってるけど……)

「うるさいわよ、ユウ! あんたはアイドルかっ!!」

「ハルが怒った~。ヒロくん助けて~」

ユウセンパイは机の陰に隠れて、コウハイのヒロくんこと、城田しろた 千紘ちひろくんを盾にする。

「イヤです」

「そんな~」

うるさい先輩が来てしまった……。

ここは見つかってしまう前に、シュークリームを食べてしまわなくては!

「ヒカリちゃん、何食ってんの?」

いきなり後ろから声をかけられる。

見つかっちゃったよ……。

おそるおそる後ろを振り向く。

「ケンタセンパイ!?」

ユウセンパイかと思って振り向いたところにいたのは、ケンタセンパイだった。

「おっ、シュークリーム。ちょっともらっていい?」

「ああ、どうぞ……」

そういったところで私は気づいてしまった。

「いただきまーす」

よく考えたら、間接Kiss!

ああ、やってしまった……。

「ケンタセンパイ? 何してるんですか?~」

「ソラー! な~んもないよ♪ じゃあね、ヒカリちゃん」

ケンタセンパイは藤井くんに連れられて行く。

そして私は、ケンタセンパイがほおばったシュークリームを口へ放り込み、みんなのもとへ向かった。


「あのー……」

「ヒカリちゃん! いたんなら声かけてよ~。ハルもケンタもソラもいなくなっちゃったしー」

部誌―――と言ってもただのノートだけど―――を右手に、ユウセンパイが驚きつつもお得意の笑顔。

「ハルセンパイいないんですか?」

おっかしいな~。

さっき私の目の前にいる人がギャーギャー騒いでたのに……。

「そうなんだよ。まったく、どこ行きやがったんだ、あいつは」

「ハルセンパイ、さっき生徒会の腕章つけた人に連れていかれてましたよ」

いきなり会話に入ってっ来たのは、コンちゃんこと、今野こんの 瑞季みずきちゃん。

美人さんで、同学年からも上級生からもモテモテな、学校のアイドル的女の子。

いわゆる、マドンナってやつだ。

でも、実は熱狂的なアイドルファン。

聞いた話によると、とあるアイドルのコンサートに行ったとき、そのアイドルの事務所からスカウトされたとか。

「生徒会……。てことは、陽哉ようやかな? ならいいや」

聞き覚えのある名前。誰だっけな?

「白昼堂々、2人で駆け落ちだったりして~」

駆け落ちって……。

ハルセンパイの彼氏さん、永矢ながや 陽哉先輩のことか。

「本当に駆け落ちかもしれませんね」

「誰と誰が駆け落ちだって?」

私が冗談っぽく笑ったとき、後ろから嫌な予感がした。

「ハルセンパイ……。いつからそこにいたんですか?」

おびえた様子のコンちゃんに、ハルセンパイは笑って返す。

あくまでも、怖いほうの笑顔だけど……。

「ユウが、『白昼堂々、2人で駆け落ちだったりして~』って、笑ったとこらへんかな」

顔は満面の笑み。でも手元は……。

「ごめん、ごめん。冗談だって。そんなに怒んなって、痛っぁ~!!!」

ユウセンパイよ、星になれ。

手を合わせて、私とコンちゃんはユウセンパイの哀れな一部始終を見届けた。


天文部の部室を出て、私は昇降口へと向かっていた。

「このレンズをここにはめて……」

この声、藤井くん?

いきなり入って、驚かしてやれ!

「失礼しま~す!!」

「うわっ!」

部屋の中にいた男の子は宙に舞ったレンズを慌ててキャッチして、そっと床に置いた。

「ヒカリちゃんかよ~。びっくりしたじゃん」

「かよってなんなんですか? それに、驚かしてるんだから驚いていいんですよ。というか、藤井くんここにいたんですね」

「まあな。てゆうか」

彼は肩を落としてため息をついた。

てゆうかで切るなよ!

続き気になるじゃん!

「ヒカリちゃんも、ソラって呼んでよ。藤井くんって、なんかよそよそしいし。あと、敬語もダメ」

…………?

この人なんて言った? ソラと呼べだと?

藤井くんは私に不満そうな視線を送ってくる。

しかもほっぺを膨らませて……。

ああダメだ、これ以上は私の良心が傷んでいくだけだ。

「わ、わかりました。ソラくんですね?」

「敬語じゃなくて」

しぶしぶ私は藤井くん&敬語を改めさせられ、ソラくん&タメ口にすることにした。

藤井くん改め、ソラくんはさっきと真逆の態度で目を輝かせている。

ユウセンパイと同類だな。

なんで私の周りには、強引な人が集まるの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ