それは一目惚れでした
合宿3日目、ここ2日間天気悪かったが、珍しく晴れていた。今日も咲の学校のテントにお邪魔した。昨日に比べて今日はテントにいる人が少なかった。
「真田、コップ取って」
咲がテントにいた男子に声をかけた。真田と呼ばれた男子は咲の名前が書いた紙コップを渡した。
その時、視力の悪い私が珍しくはっきりみえた。
「咲、今の人、メガネくいって上げる仕草かっこいいね」
私は小声で咲に言った。メガネ使用者にしかできない、あのメガネくいって上げる動作。初めてかっこいいと思った。
「真田、メガネくいって上げる仕草かっこいいって」
「えっ、ちょっ、咲!」
咲は私の目の前で真田くんに告げ口した。今までかっこいいけど性格が悪い男子しかみなかったから、そんな事言われたら嫌われると思った。
「穂花、あいつ照れてるよ?」
咲は私にそういったのだ。私は真田くんの予想外の反応をして、少し興味を持った。
午前の練習が終わる間近、芝生に置いてあるジャージを見つけた。
「咲、あれ咲の学校のジャージだよね?」
「あっ、そうだよ。あそこの水道にいる人に渡してきなよ」
咲が指差す方をみると、真田くんがいた。なんで私が?って思いながらも、わかった。そういってジャージを拾うと真田くんに声をかけた。
「あの…これあっちに置いてありましたよ」
間近でみた真田くんは、背もやや高めで、綺麗な顔立ちだった。
「ありがとう」
真田くんの笑顔をみて、
私は一目惚れした。
「咲、渡してきたよ」
「ありがとう」
私は咲の元へと戻った。
「穂花、あいつ女子とメールするの好きだから、メアドきいてあげようか?」
「えっ…いいの?教えて!」
女たらしなのかなって思ったが、せっかくの機会だから交換したいと思い、咲を通してメアドを入手した。