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初めての町そして交渉

続きです!楽しんでくれると嬉しいです!

湖を背にして、俺はセレーネが教えてくれた来た道を戻っていた。


やがて森を抜け、草原を越えて見えてきた町の門まで辿り着いた。そこには木製の門と、簡素ながらも堅実そうな石壁が建っていた。


警備員に簡単な質問をされ、なんとか町への入場を許されると、俺は町の中に足を踏み入れた。夕陽に照らされた町は活気があり、広場には露店が立ち並び、人々が忙しそうに行き交っている。


「とりあえず宿だな……けど、金がないんだよな。」


俺はため息をつきながら、周囲を見渡す。宿を見つけたところで泊まるための金がないことは分かっている。だが、野宿を避けるためには何とか方法を考えるしかない。

町の広場に面した場所に"月影亭"という看板を見つけた。宿屋らしい。店に入る前に、俺は少しだけ気合を入れて自分に言い聞かせた。


「交渉だ……何か手伝いでもして泊めてもらえないか聞いてみよう。」


扉を押して中に入ると、酒場を兼ねた賑やかな雰囲気に包まれた。カウンターにいた初老の女性が、俺に気づいて笑顔で声をかけてくる。


「いらっしゃい、旅のお方。今日は泊まる部屋を探してるのかい?」


「ああ、そうだ。ただ……正直なところ、今はお金がないんだ。」


女性は少し目を細めて俺を見た。怪しまれているのかもしれないが、すぐにふっと表情を和らげた。


「なるほどね。旅の途中で困ることもあるだろうさ。私も昔、旅をしていたからね。じゃあ、こうしないかい?宿代の代わりに、ここで簡単な手伝いをしてもらうってのは。」


「手伝い?」


「ああ。夕飯の後片付けや、明日の朝食の準備を手伝ってくれれば、それで帳消しにしてやるよ。」


俺は思わず笑みを浮かべた。この世界で初めての人間との交渉は、意外なほどうまくいった。


「ありがとう。それなら、ぜひお願いするよ。」


「じゃあ、部屋は奥の右端の一室を使っておくれ。夕飯が終わったら声をかけるから、それまでは休んでおいで。」


案内された部屋は簡素だが清潔で、ベッドも十分に使えそうだった。荷物を置くと、俺はしばしベッドに腰掛けて目を閉じた。


「……この世界の人間も、思ったより冷たくはないな。」


安堵感に包まれつつも、俺は今後のことをぼんやりと考え始めた。明日はこの町で少し情報を集めて、次の目標を決めよう。だが、セレーネが見せてくれた未来の映像の意味も気になる。あれが俺に何を伝えようとしていたのか、まだ分からない。

そんなことを考えているうちに、やがて外から鐘の音が聞こえてきた。俺は立ち上がり、部屋を後にした。

やっと町に着きました!!この先どうなっていくのか…楽しみにしていてください!

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