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「死んでください」


(まずい、動けば田村にあたる)


なら弾を食らう覚悟で突っ込むか?


見たところ口径の小さな銃だ。


当たりどころを間違えなければ死にはしないだろう。


と、新子が覚悟を決めたとき。


「シンコ先生、動かないで」


(いつき)が小さく、だが、鋭くそう言ったのと同時に、


ヒョウッ


バズズッ!!


横から飛んできた光の矢が銃を持つ腕に(あた)り、


「うわっ!」


強烈なしびれに男は銃を落とした。


同時に駆け出した新子と厳が白装束達を制圧。


暴徒らのベルトだとかで、縛り上げる。


危険がないと判断し出てきた岩渕と咲に、


「助かりましたよ」


礼を言ってから、


「コイツら、世界を作り換えるとかイカれたこと言って……」


新子が聞いたことを共有するが、


「そんなことより! どうやって避けたのですか?! 鉄砲ですよ?」


「そんなことって……」


岩渕には謎の白装束の正体より、新子が弾をどう避けたかの方に興味を惹かれるらしい。


「いや、俺が避けたんじゃなく、これが急に重くなって……」


解け〜ッ! と足元で喚いている白装束達の腹を蹴って黙らせながら、新子がお守りを取り出す。


「あ、それって高橋宮司に頂いた……」


「そうなんっすよ」


「そのお守りが重くなったから頭が下がって弾を避けられたって言うんですか?」


「そうっすね。信じられないけれど」


「え〜っ?? 本当に効果のある(・・・・・)お守りなんですね……」


数代前の霊力のある宮司の作った本物(・・)、と言う話だったが、ここまでの効果は予想していなかった。


だが新子にはこのお守りから何も感じられないので、


「西村。なんか見えるかい?」


咲に見てもらうと、


「……そのお守りを中心にバリア? みたいなのが張られているように感じます。それと……」


「それと?」


「ビームみたいのが何本か出ていてそれが動いて……ごめんなさいうまく言えないけれどそんなふうに見えるんです」


「なんだろな? 田村にも見えるのかい?」


「いいえ、僕には見えません」


「そっか。霊力を使うのと見るのは別の能力なんだな」


「そうだと思います。僕が見えるのは濃度の濃い負の霊力だけです」


「ふーん。あ、そういやあ……」


岩渕の矢は人に影響はないかと思っていたが、白装束の腕を痺れさせた。


「コイツラも負の霊力に取り憑かれているってことかね?」


新子の問に、


「量は少ないですけど、そうだと思います」


厳が即答した。


科学的裏付けだとかがあるわけではないが、という前置きに続いた厳の考察はこうだった。


人の心は硬直化しやすい。


何かを思い込むとそれに凝り固まってしまう。


その状態は負の霊力が入り込み、そして操りやすい状態なのではないのか?


「そうなってしまった人達が"生成(なまな)り"だとか"鬼"だとかになってしまうのが話として残っているんだと思うのです」


「生成り?」


「鬼になる前の状態ですよ。能の"鉄輪"にでてくるじゃないですか」


「田村……よくそんなこと知ってるな」


え? 常識なんじゃ……と岩渕を見る厳。


岩渕は、本を読まない人はしょうがないわね、という顔で肩をすくめる。


ええ〜、俺がおかしいんじゃないよな?


と新子に同意を求められても返答に困る咲。


変な感じになってしまったが、咲に見せるため首から外していた御守がまた重くなり新子の腕をぐいっと下げさせた。


「!?」


今度は何だ? と新子が見回す。


「気付いたか。気配は消していたのだがな」


そう言いながらゆっくりと歩み寄る男の手には、抜身の日本刀が握られていた。





「……大転換……その可能性は頭に入れて今後動いたほうが良いかもしれませんね」


美幸が腕組みしながら自分に言い聞かせるようにそう言うと、トヨは、


「大体百年おきですからそろそろあってもおかしくありませんが……必ずじゃないですし、ともかく考慮しておいたほうが良いとは思いますが……」


その後をついで、


「まあ、不確実なことに気をもんでも仕方ないさね」


たまゑが、で、どう動く?


話をもとに戻した。


それに対し美幸は、


「伸治たちが持ち帰るもの次第ですが……」


と前置きし、


(いつき)君たちと合流……でも下手に探しに行くより、首塚で合流したほうが良いのかしら?」


口に出しつつ自分の中で考えをまとめているようだ。


有線が生きているので校長から教育委員会を通し連絡が上がっている。


厳と咲、そして教師二名が首塚に向かったとのことだった。


だがその経路まではわからない。


「僕には、その厳君の動きが今後の流れを左右するように思えるなあ」


省吾の何気ない一言に、


「あたしもそう思うよ」


たまゑが同意する。


たまゑはヴィジョンを見た。


そしてそう感じたのだ。


それは重要視するべきだと判断した美幸。


「そうですね。では遠回りして彼らが通りそうな道で首塚に向かいましょう。うまくすれば途中で合流できると思います」


瓶森神社の宮司から、事がおきたら伝来の弓を厳の担任に渡すつもりだと聞かされている。


同行している教員の一人がその担任のはずだ。


神社から首塚へ向かうには本郷通りか靖国通りを必ず通るだろう。


ならばその交差点で待てば会えるはずだ。


そう目星をつけたところで伸治たちの帰還が知らされた。


彼らが降りてくるのを待つ間、


「光雄さん、どうかしたの?」


花が終始おとなしく青い顔の光雄をどこか具合でも悪いのか、と心配すると、


「いや、大丈夫だよ。大事になってるから緊張してきただけさ」


との返事。


ふーん、それならいいけど……


そんな花とのやり取りに、光雄はまだ恋人との死別を克服していないのか? と美幸たちは別の心配をするのだった。

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