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2000年4月湯浅

ユング心理学を日本に紹介した河合隼雄氏の著作は数多くあるけれど、その中でも、我が旅のお供の一冊として「明恵夢を生きる」がある。

明恵上人は鎌倉時代、新仏教の興隆の機運とは別の立ち位置で仏教を極めようとした高僧で、生涯にわたって見た夢を数多く記録し、その記録の半分が今だ残存する。この残された夢を史的事実とユング心理学的解釈を元に解釈し、一人の宗教人として明恵上人を描いたものが「明恵夢を生きる」である。

読んでいると、イケメン、硬派、人として器が大きい(舎弟が沢山)となかなか面白い。一度でいいから、お会いして話を聞いてみたいものである。明恵上人の歌に有名なものが一つ。月の光の明るさと美しさをただひたすらに讃える歌だ。

「あかあかや あかあかやかや あかあかや あかあかやかや あかあかや月」

明恵上人ゆかりの地として一般的に有名なのはこの四か所かと。

京都市高尾の神護寺・栂尾の高山寺

奈良市春日大社・東大寺

他にも和歌山県有田市近辺にもいくつかあるけれど、ネームバリューが段違いに低い。

2日その中のひとつ、湯浅町にある白上の峰を訪ねた。花曇りの一日で、海は凪ぎ平らかで、久々に瀬戸内の海の穏やかさを思い出した。白上の峰は思っていたような険しい山ではなかったけれど、眼前に海があり、風光明媚なところだ。今は人も多く、みかん畑が多々散在しており、世俗化しているが、その昔は人も少なく、修行に良いところだったのだろう。というのは、座り心地の良い岩々が沢山あってほどほどに険しく、木々も多い。なにより、海が眼前にある。

今日など、山桜がそこここにうっすらとほのあかく咲き初めて、なんとも曰く言い難い美しさだ。

とろとろと海を眺め、草々・木々を眺め、鳥の声を探ね、半日白上の峰付近で遊ぶ。みかんの木はやっぱりクリスマスツリーみたくピカピカしていて、山桜の佇まいとの妙がまた良い。

そうして下へ下りて、温泉に入る。旅館も併せて営業しているけれど、銭湯と同じような感じで番台で300円払って入る。男湯は釣客で賑わっていたが、女湯は私一人貸し切りだった。温泉にプカリと夏みかんが二つ浮いている。この辺らしいサービスだ。ちなみに温泉は比較的新しいもので、明恵上人の頃にはなかった。

駅への帰り道を海沿いに辿る。川を渡ると人家が増え、昔懐かしい佇まいの家並みもある。

醤油が有名とのことで、一つ買って帰る。

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