1999年3月西吉野波比賣神社
17日ついこの間の4日に目撃した鳥居が気になり、場所はウロ覚えのまま下市口駅からバスに乗り突撃探訪。
先日目撃した鳥居は上栃原にある波比賣神社の下の鳥居だった。バスの窓から鳥居を確認したら、次のバス停平原で下車し歩いて鳥居まで戻る。鳥居右手に社名を彫った石柱が立つ。
鳥居を潜り、綺麗に舗装された参道を登って行く。けっこう長い。黒木の植林帯を抜けると視界が開け、電波塔が目に入る。西の方角に向かってなだらかな山稜が眼下に広がっている。なんだか山に登った気分になる。
道なりに進むとすぐそこに手水舎があり、そこから左手に階段が上へと伸びている。然程多くない階段を上がると、門と拝殿を兼ね併せた建物を潜る。山頂にあるお社は由緒正しく古い佇まいの立派な本殿が建っていた。まずは初めましてのご挨拶を兼ねたお詣りをして、境内をあちらこちら歩いて見て回る。罔象女神を祀り、天平2年(西暦720年)に建立されたと看板にある。水に縁ある神様なのだろうけれど、なんと古くからあるのだろうか。
周りは山、山、山で、その低い山腹のなだらかな日当たりの良い所に人がぽつりぽつりと住まわっている。畑、梅林、柿、植木、林業が生業なのか。そんなに古い時から人はここに住み、今と同じく生きていたのだと思うと、その歳月の重みに頭が下がる。
今日はほんとうに良い天気で、梅の花も満開、桜の蕾もだいぶ大きくなりつつある。桃源郷とはかくやあらんという風景を幾度か目にし、それとは反対の打ち捨てられた家や田畑を目にした。
平原へと林道を下り、そこから基本的にバス道を辿りつつ、城戸へ向かう。西吉野温泉に浸かってから、丹生川沿いに少し歩いて城戸からJRバスに乗って五條駅へ。JRバスは街では見ない旧式のオンボロで、床が木製の為節穴から走っている地面が見えるのが面白い。それに途中まではバス専用道を走るので、風情がひとしお。尚、この専用道は幻の五新線の名残りの道を活用したもの。
駅に着くと17時16分発王寺行きが丁度良くあり、乗車する。地元高校生の帰宅時刻の為、車内は高校生でいっぱいだ。何故か男子が多い。街の子と違い、素直で擦れていない様子が見ていて可愛らしい。中に何人か見目良い子もおり、眼福であった。聞くとも無い会話からして、工業高校生もいるようだ。ハイテク兵器の仕組みやロケットの原理の解説本を読んでいる子がいた。顔立ちも利発そうだったので、将来日本を背負って立つ一柱になってゆきそうだ。頑張れ少年!
波比賣神社は標高531mの「栃原岳」の山頂に鎮座しており、吉野三山(栃原岳、銀峯山、櫃ヶ岳)の一つともなっている。銀峯山山頂にはこれまた由緒正しく古くから続く波宝神社が鎮座している。
波比賣神社本殿は1998年台風で傷み2000年建て替えられている。建て替え前の貴重な一コマを拝見出来たと言えよう。