1999年4月東京上野公園
23日夜行バスで往復というハードスケジュールで久方ぶりに東京へ行く。
驚いたのは上野公園の状況である。かなりの浮浪者が仮テントを木陰に張って起居しているようなのだ。昔から夜行バスで朝時間潰しが必要な際には上野に行って上野公園でぶらついたり、ぼーっとすることにしている。なので、今回もそうしていたわけだけれど、えらくみすぼらしい身なりの人が多く、⁇と思いつつ都立美術館への道へ差し掛かった折、青いビニールシートの塊がゴンゴン目に入ってきた。工事中の資材を濡れないようにしているのかなぁとちらと考えたが、その中に人影を認めるに及び、さっきのみすぼらしい身なりの人とのイメージが合わさって、これって不況でリストラやら何やらで家の無くなった人がテント生活しているんだという結論に至った。確かに駅近くに食べ物屋は沢山あるから食料はOK、トイレと水場も綺麗なものがあちこちにある。なかなか良いロケーションと言えよう。新宿の駅近辺でダンボール生活している人より、こちらの方が建設的だろうか。かの人達は不忍池で鯉を獲ったり、その辺を彷徨く鳩を獲ったりとサバイバル生活をしているのかな。これって、とても知りたいことなのだけれど。
しかし、東京って日本の首都であり、物流・情報の集約地で一見するとキラキラしく見えるけれど、反面なんか地味なところがある。息をうっと潜めて生きているような、そんな気配を感じる時がある。なんでだろうね。
この日どこで何をしたのか日記に記載無し。記憶も無い。かろうじて青いビニールシートを思い出したのみ。よほど衝撃的だったのだろう。
日記の後ろから国立西洋美術館の企画展の半券を発見。国立西洋美術館開館40周年記念企画である、エルミタージュ美術館所蔵イタリア・ルネサンス美術展。どうやらこの企画展を観るのに行き帰り夜行バスという強行手段を取ったようだ。