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1998年4月香寺町テント泊

20日仕事が終わってから急に思い立ち、姫路の北にある香呂駅まで移動する。

香呂駅に着いたのは23時頃だったか。月は無く、星も僅かな薄曇りの夜だった。ただ、深山の夜にあるような深い闇ではなく、点在する人家の灯が雲に反射してほの明るい中、道を辿ることが出来る。車を避けて農道をとぼとぼと歩きつつ、一体なんでこんなことをしているのだろうと考えた。わからない。ただ、何となく行きたいと思ってしまい、邪魔するものが何も無かったから、こうして歩いている。

羽部神社のすぐ先、総合公園の未整備裏口の人目につきにくい所でテントを設営。時間も時間だし、なんとか見えるにしてもやはり暗いので設営は適当だ。よく考えてみると、10回以上設営しているはずなのにきちんとセオリー通り設営したことが無いような…。立派な山岳用テントなので、顰蹙ものかも。

21日朝5時半起床。散歩がてら総合公園の東屋にて朝ご飯を食べる。八重桜が丁度盛りの頃だ。すべてのものにはその時があるというけれど、新緑も過ぎて深緑に変わろうとする今、八重桜が咲くのは嫌味が無くて良い。つつじ、さつき、ふじ、しゃが、たんぽぽ、きゅうりぐさ等々花盛りだ。薄曇りの空の下、霞みがかった風景はいつかどこかで見たような懐かしさを感じ、ますますこの辺りのことが気に入る。また、こんなふうにテント担いでこようかな。

10時頃テント撤収。公園前にある香寺ハーブガーデンで少し早いお昼を食べる。ついでにカモミールの石けんとハーブティーを購入。

この後、西にちょっとだけ歩いた所にある、大歳宮に向かう。麦が花盛りだ。ハナミズキの花も今が盛りで、遠目から観てその美しさにハッとする。久方ぶりの大歳宮では白藤が咲き始めており、お社の縁台からしばらく見惚れた。十重二十重と捩じくれた根本はかなりの太さで、直径15cmはあるかと思う。それが差し渡し7〜8mは先へと伸び、ほんの先端部に若々しい葉と輝く花の蕾を付けている。その藤の花の蕾が春の日差しで綻んで行く。ここだと私一人の観客だけれど、奈良の万葉植物園の藤の花と遜色ないくらいでもったいない

大歳宮に詣でた後、南へと歩いて行き適当なバス停でバスに乗車して姫路まで出る。

来月末あたり、輝く黄金の麦の穂を見ることが出来るのかしらん。楽しみだ。

あと一つ。今日溜池を眺めていて水鏡がどういうものなのか、その意味をなんとなく理解する。本体のエッセンスが水鏡に映し出されるのだ。どうかすると、本体より諸々の細かいところが抜ける分、美しく見える。それだから、逆さ富士などか尊ばれるのだろう。なら、自分はどうだ?と水鏡に映る顔を覗いて見たが、輪郭ばかりで目鼻も何も無かった。

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