2003年7月初瀬長谷寺
28日夜番の仕事終了後に移動して、初めて大垣行きの夜行列車に乗ってみた。途中から青春18切符を使うのでお得感抜群だ。会社帰りの人が下車した小田原駅から自由席の座席に座ることが出来た。床に座らずに行けるようでラッキー。大垣駅から電車を乗り継ぎ大阪駅下車。8時頃という通勤ラッシュの時間帯だ。あまりの人の多さにウロウロするのは諦めて駅横のホテルグランヴィアのラウンジで休憩。ラウンジの内装が変わっていてびっくり。カフェオレを飲んで気合いを入れて、まずは大阪に出た要件を済ませる。1時間ほどで要件は済み、明日の夜帰りの夜行バスを予約する。運が良いことに奈良発町田バスセンター下車で予約が取れる。町田バスセンター下車出来るバスが後の移動が楽なんだよなぁ。
幸先が良いとウキウキしながら長谷寺へと向かう。長谷寺のすぐ近くにある温泉旅館が空いていたら、泊まるつもり。駄目だったら、榛原駅近くにある温泉宿か奈良に戻ってビジネスホテルでもいいかな。一人でフリだったけれど、その日学生さんの団体予約が入っていて、部屋も空いているので一人増えても問題無しということで、無事宿泊の予約は取れた。あとは夕方まで長谷寺辺りを歩いて周るだけだ。
足取り軽く長谷寺に向かう。ところで、以前にも二度長谷寺に詣でているが、大宇陀からの帰りについでに立ち寄るという駆け足詣出だったので、全く気が付かずにいたことがある。白髪神社、與喜天満社、素戔雄神社と立派なお社が3つ。あと小さな祠。長谷寺は人出が多いけれど、お社の方は然程詣でる人もいないようだ。もったいない。まだ時間もあるので、北にある初瀬ダムまで足を運んでみる。往復で一時間ほどの短い間、車は全く通らない。あまりこの道は使われないのかな。
温泉旅館はまあこんなものかという感じ。
30日は榛原から大宇陀へ出て、少しぶらりと歩いた後、奈良へ移動する。
時間的にあんまりぶらぶら出来なかったけれど、初めて大宇陀の神楽岡神社参道入り口横の古民家のお店に足を踏み入れることが出来た。いつも朝早く通り過ぎるか、店休日(月・火)だったりで、ちっとも入ることが出来ないでいたのだ。古民家の持ち味を活かした素朴な感じで奥には染色工房やら毛糸の束がぎっしりの棚があったりとなかなか良い感じで暮らしていらっしゃるようだ。日替わり定食をお願いしてお店の中をウロウロしたけれど、その間誰も来ず、私一人きり。そうめんかぼちゃを茹でたさっぱりサラダがメインのご飯を食べる。初めてそうめんかぼちゃを食べたけれど食感がかぼちゃらしくないシャッキリ感で珍しい。
そうするうちに男性二人時間差で来店。どちらの方もプライベートな要件で来店されたようだ。一人目は要件だけでさっさと出て行かれる。二人目はキッチン横に座り込み店主の女性と話を始める。その会話が興味深い内容で、つい耳がダンボになる。宮奥のお寺近くの家に住んでいた方の話だった。なんでも賃貸契約が3年だったのに、13年も居座り、とうとう強制退去させられるという。借りていた家は全く手入れされず廃墟同然に荒れに荒れ、退去する方の荷物を運び出すのも気が滅入るような作業になる為、レコードなど貰うもんだけ貰って退散してきたらしい。なんでも、インドタントラか何かそっち系に気触れた60代の爺さんらしい。10年近く前、こんな所に住めるといいな…と思っていたあの家か…。去年久しぶりに見たら荒れ果てて、絶対住めないなぁと思ったあの家。なんだかなぁ。家を出されるお爺さんもこれからのことを考えたら切ないけど…。身辺整理の上、インドへ移住するらしい。
奈良に着いたのは夕方で、猿沢池から夕日が春日山や興福寺五重の塔などに当たるのをぼんやりと眺める。ああいうのを赫光と言うんだろう。普段と違い、赫光を浴びた存在は別次元の輝きを纏ったように美しく、見飽きない。そうこうするうちに日は沈み、輝きはあっという間に失せてしまう。ライトアップされた池の水面に映り込むしだれ柳やその他のものの光景は、まるで池の中に別世界があるように見える。
久々におもしろい本を発見。松本祐子さん著「リューンノールの庭」という、ヤングアダルト向けファンタジーだ。イラストが佐竹美保さんでカバー表紙がとても美しい。