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1991年11月大台ヶ原

5月に大台山の家のTさんと秋の再訪を約束した私。

ようやく約束を果たせたのは、山仕舞いももうすぐの頃だった。今回は、3〜5日2泊3日で入之波へ下山する予定だ。

3日、大台ヶ原に着いて即、山の家のTさんに挨拶に行くと、「ずいぶんゆっくりのお越しやなぁ、もうこんかと思っとった」こんなふうに言われる。その時、同じように宿泊手続きに来ていた50代の女性を紹介された。「あんたとおんなじような山好きの人やで」Iさんは、近鉄あみま倶楽部の会員で、大台ヶ原にはもう何度も来ている常連さんらしい。

これから何処行くという話をIさんとしていると、Tさんが山地図にないオススメルートを教えてくれる(その数年後山地図に足されてた)。そういう成り行きで、Iさんと一緒に出かける。オススメのルートは他に誰もおらず、静かな山の秋を愉しむ。良い所を教えていただいた。その夜はTさんIさんと山の話をあれやこれやとする。8時頃だったか、20代くらいの男性が宿泊手続きに外から入ってくる。「こんな遅うにどないしたんや」Tさんが尋ねると、筏場からの道が荒れていて道に迷って遅くなったとのこと。一応、ビバーグの準備はしていたけどなんとかここまで歩いてきたそうな。私もIさんも翌日、下って行く道なので、どうする、どうする?と話す。その時、1人男性が自分達も明日下る予定なので一緒に下りませんか?と声を掛けてくる。聞けば、その方は北アルプスなどにも登るベテランさんで、子供連れ10人のメンバーで明日下るそうな。それならなんとかなるかと、私とIさんは同道することにする。

翌日子供もいるので、賑やかに下っていく。途中渓流を渡る際など、本当にワアワアキャアキャア楽しそうにしてる。昼過ぎには筏場に到着。道のどこが荒れてたのか分からなかった。たまにいる、ルートファインディングが下手な方なのかも。

Iさんはバスの時間があるのでそのまま、大迫まで歩くという。私は子供連れのグループがお昼を兼ねたバーベキューをする誘いに応じる。入之波温泉に泊まるので時間はたっぷりあるのだ。大台ヶ原に来ていなかった家族の方が車数台でお出迎え。バーベキューの準備も万端。Iさんを見送った後、ワイワイガヤガヤ、バーベキューを楽しむ。あれもこれもと勧められるままに食べる。肉増し増し。もうこれ以上はムリなくらい食べ過ぎた。

後片付けを手伝い、皆んなを見送ると、今日の宿までのんびりと歩く。ちょっと前までの騒がしさが嘘のように静かだ。宿に着くと、早速温泉に浸かる。茶色い鉄泉だ。大きく開け放たれた窓のすぐ外は渓流で、温泉で火照った身体がひんやり気持ちいい。ずいぶん長く温泉に浸かっていた。

晩ご飯は、明治の趣きのある部屋でいただいた。壁に何枚ものご先祖様の白黒写真が掛けられている。カレンダーは、なんと皇族カレンダーだ。もしかしたら白黒写真には、明治天皇や大正天皇のものも、あったかもしれない。部屋の隅にある大きな置き時計がカッチコッチと音を立てるだけの、静かな部屋でたった1人、味噌仕立ての鍋をいただく。悲しいことに、バーベキューが未だ消化出来ておらず、お腹が空いていない。どんなに美味しい鍋でも完食はムリだった。残念だ。

翌日5日、大迫までのんびり歩き、バスで上市へ出る。帰る途中、明日香で途中下車しているんだが、何したんだろうか?記憶に残ってないんだよなあ。

しかし、今回の山行き、想定外続きだった。


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