2004年1月信濃国一ノ宮諏訪大社
信濃国一ノ宮諏訪大社は諏訪湖の南北に二社ずつ四カ所に鎮座する。
27日28日ふと思い立ち、諏訪湖に座す諏訪大社に詣でてきた。当初は日帰りでと考えていたが、下諏訪駅に着き、気合いを入れるため朝風呂に浸かり一番近い秋宮を詣でた後、やはりここで一泊するかという気になる。駅の観光案内所で予算を言って探してもらう。最初JRの案内所で探そうとしたら、ここは旅館のいいところ(宿泊代15000円以上)しか扱ってないから隣の観光案内所に行って下さいと言われてしまったのだ。とにかく、秋宮近くにあるホテル山王閣に6800円で泊まれることになり、安いのもあり一安心。それにしても、私の格好って、ビンボーったらしく見えてたのかなぁ?うーむ。まあ、よいけど。
それにしても寒かった。雪はたいして積もってはないが、シンシンとした寒さが終日続く。旦過の湯で朝風呂に浸かり温もっていなかったら、たぶん日帰りだったろう。朝10時にもならぬ頃に温泉に浸かるってのは気持ちいい。この辺りは温泉天国らしく、あちこちから湯が湧き出し、じーさんばーさんはひねもす朝に夕に近くの湯に浸かりに行くらしい。一回220円は安い!
諏訪大社下社秋宮にて、白松という珍しい種類の松を初めて見る。枝ぶりはカラ松に似ている。ただ、幹の肌がゴツゴツしておらず滑らかで、所々皮がペロんペロん剥がれて、瑞々しい木肌が寒気に晒されている。なんというか百日紅の幹に似ているような…。
秋宮前の喫茶店かりんは火曜定休日の為、諦めて旧中山道を春宮へと歩いて行く。春宮は秋宮よりシンとしており神々しい。ことに向かって左手にある砥川の中津に座す浮島神社は神地だと思う。とうとうと流るる水に常に清められ、寒くなかったら一日ここでぼんやりしていてもいいくらいだ。万治の石仏も良かった。ほのぼのとした表情で田んぼの中に鎮座在します。雪の中もいいけれど、夏の青い稲穂の中にあるのも素敵だと思う。
大社前の蕎麦屋に入り、天玉蕎麦450円を食べる。時間はまさしく12時頃というのに、私以外誰もいない。まあ、冬の平日だしこんなものか…と思うが、一方でこんなんで大丈夫か?と心配もする。天玉と汁は美味しかったが蕎麦は柔らかめで好みから外れていて残念。
駅で宿を確保したその足で茅野駅まで移動して、上社前宮と本宮に詣でようとする。あいにくなことにバスが出てしまったところで、次の便は1時間以上待つことになる。しばし考え、歩いて行くことにする。途中、面白い名前の神社と祠があった。笠地蔵さんと六体地蔵さんが共にあり、この辺が村境かと思う所に建屋酢蔵神社という名の神社があった。由緒は薄れて読み取れず、ひと休みさせてもらう。
近くに小さな可愛らしい石の祠があり、天白七五三社という名のお社らしい。前宮と本宮の別れ道である信号の所で本宮への道を取る。両方を詣でるには、道に雪が多く残りすぎて無理だと判断して近い方へ行くことにしたのだ。
狭い道なのにけっこう車が通り、残雪もありのんびりと歩いていられない。ありがたいことに少し歩いただけで本宮に到着。下社に比べて大きい。丁度お宮参りの一家がお祓いを受けている最中で、早々に退散。
15時過ぎということで、次どうするか考える意味も兼ねて本宮前のきよめ茶屋に入る。お客さんは私以外、よぼよぼしているがどうやら地元の郷士といった品格のお爺さんが一人だけ。ぜんざいを頼み、店内をチェックする。骨董品にも手を出しているのか、徳利や椀などが雑然として棚に並ぶ。店主は70歳に近い男性でお客さんであるお爺さんとちょぼちょぼ話をしている。お爺さんが店を出ていき、私もそろそろ出ようと勘定をしたところで立ち話することしばし。この辺りは温泉がよく出るので、その集落ごとの公民館みたいなところに住民専用の温泉場を作っているとのこと。そこへ朝晩皆して入りに行くのだという。内湯を引くより勝手が良いらしい。いいなぁ…。これからどうするという話でバスの時刻表を見てくれる。上諏訪行きのコミュニティバスが16時16分頃この前を通るから、それまでここで待っていけと親切にして言ってくれる。ありがたく待たして貰う中、甘酒を頂戴する。いっとう最後に、そろそろ時間だからと支度をしかけると、声が掛かり手製の上社本宮略図までいただく。いい人だ。また来よう…。お礼を言って外へ出る。
バスは市内循環バスだったけれど、あちこちくねくねと曲がり、いったいどのような道を辿っているのかよく分からなかった。途中眠ってしまい、気がつくともうじき上諏訪駅に到着…という頃だった。今年はよく凍みているので、御神渡りが有るかもしれないということだったが、確かに湖面は凍りついて舟が動いている様子は無い。
上諏訪駅に着いたのが17時頃か。下諏訪駅への電車は29分発。まだ30分近くある。どうしようか考えつつ駅内に入る。確か温泉があったはず…と探すとガイドと違い、足湯のみになっていた。まあ、寒いよりまし、と高校生らしき男子5〜6人ほどの群れに交じりって足湯に足を浸ける。ついでに手も。少々温いめだったけれど、まずまず。時間ギリギリまで足湯で粘り、大急ぎで靴下と靴を履き電車に乗る。夕暮れ時の景色を眺めつつ一駅乗って、降りた頃には、はや黄昏時となっていた。凍り始めた道を用心しいしい歩いて行く。暗くなってきたので、歩きづらい。それでも駅から近いので18時前にチェックインする。丁度これから夕食らしい。とりあえず温泉に浸かって19時頃お腹を空かせて夕食に臨む。かなりボリュームがあった。せっかくなので食前酒に赤ワインを一杯頼む。フルーティで軽い口当たりのワインで鴨肉によく合う。刺身、茶碗蒸し、天ぷら(冷めてしまって残念)、もずく、漬物、お吸い物、炊き合わせ、蕎麦…。ワインを飲んでしまい、白ご飯に移る頃にはお腹いっぱいになってしまった。一時間かけて夕食を済まし布団に寝転ぶと、そのまま寝てしまう。次に目が覚めたのが23時頃。酔っ払ったおじさん連中が廊下でやいのやいの言っている。うるさいけど、酔っ払いには何を言っても無理だと思いつつまた眠る。
翌朝5時起床。お茶を入れ、前日購入の和菓子を食べつつ朝風呂に入るべく気合いを入れる。その足で温泉に入るが、朝も早いので誰もいない。しばらく浸かり温まると前夜行かなかった露天風呂に出る。外は寒い。ただ、湯に浸かってしまうとその寒さすら心地良く、次第に明らんでゆく空に見入る。たまに立ち上がって諏訪湖を眺めるが、たちまち身体が冷えるのでサッと湯に浸かりなおす。そうやって小一時間ほど露天風呂に浸かっていた。もうじき日の出という頃、湯から上がって秋宮へ散歩がてらお参りに行く。秋宮の側の小高い神の杜から日の出を眺めつつ平和を祈り、しばし佇む。雲は多めだけど、良い天気になりそうだ。白銀の輝きに元気が出る。9時前にチェックアウトし、昨日行かなかった来迎寺に行く。和泉式部の伝説はとっても出来すぎな話で、ほんとかいなと思う。
この後青塚古墳に行く。人気の無さと大木の纏う威厳から、神域のようにも感じられる。
そうして、昨日のリベンジで秋宮の前の喫茶店かりんにてかりん茶とジャムトーストをいただく。パンがとても美味しかったな。
この後、駅近い菅野温泉で温泉に浸かり、上諏訪に移動してガイドおすすめの喫茶店でかぼちゃとほうれん草のケーキと珈琲をいただく。
いろんなところからパワーをいただいて、昼からの半日勤務に間に合うよう帰途に着いた。