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零:亀裂
昏く、重たい闇の中。
霊力の鎖で雁字搦めにされ、どろどろの闇の中に沈められて、どれだけの歳月が流れたのだろう。
自分がいつ生まれたのか、どれだけ前に封じられたのかももうわからない。
力を封じられ、身動きを禁じられ、ただ此処に在るだけ。
許さない。
自分をこんな所に封じた人間を。
いつか必ず、その報いを受けさせてやる。
その恨みと憎しみだけが、自分を支え続けている。
ああ、また意識が溶ける。
浮上した意識が、再び闇に沈もうとした、その時だった。
闇に小さな亀裂が生じた。
これは僥倖。
その先に、光が視える。
自分を縛っていた鎖が、ほんの僅かに緩む。
それで充分だ。
堰堤だって、ごく小さな穴から決壊するのだ。
それは封印も同じ。
僅かに生じた亀裂から、封印を破ってやろう。
そして、自分を封じた人間を、この手で八つ裂きにしてやる。
その憎悪が、自分を突き動かす。
全力で、その亀裂に手を掛けた。
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