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強襲! お姉ちゃん


「伏谷さ」

「うん?」


移動教室から戻ってきて自分の席に座ろうとしていたら、すぐ側の席のクラスメイトが声を掛けて来た。


「何?」

「いや、最近動きが自然になって来たなって。座り方とか」

「どゆこと?」

「女の子っぽくなってきたって事」

「あー……そりゃもう一か月以上になるからね」


さすがにこれだけ立てば、スカートとかでどう動けばいいのかとかは理解できてくる。その結果、女の子っぽい動きをしていると思われるのはしょうがない。


「立派な女の子になっちゃって……」

「俺もう伏谷の元の姿思い出せないわ」

「俺も俺も」

「早いって」


まぁ元の僕はわりと影が薄かったと思うから、あまり男の時の印象が残ってないのかもしれないけど。


「伏谷ってさ、私服もスカート穿いてるの?」

「いや、基本はズホン穿いてるよ。そっちの方が動きやすいしさ」

「基本って事は、スカートも穿くことはあるんだ?」

「……家とかだと偶にね。那美とこの体に合う服買いに行った時、那美に何着か買わされたから……」


週の大部分は日中制服を着ているせいで最早そこまでスカートに抵抗はないんだけど、走り回ったりするとき余計な事を気にしなくてすむので外出時は基本的にはズボンだ。那美に買わされたスカートに関しては家の中で着ている。那美が偶にご所望してくるので……まぁ那美の前でそういう恰好するのは、それほど恥ずかしいという気持ちは強くないのでいい。たまにそのまま外に連れ出そうとするのはやめて欲しいけど。


「あー、伏谷先輩完全に今のお前妹扱いしてるもんな」

「そうなんだよねぇ……」

「あー、でも伏谷先輩、伏谷を家の恰好で連れ出してくれねぇかなぁ。私服の伏谷みたい」

「残念、見せないよーだ」

「……」

「……どしたの?」


何故か周りにいる連中がこちらを見たまんま黙り込んだので、疑問に思い首を傾げながら声を掛ける。


「……伏谷、お前それわざとか?」

「わざと? 何が?」

「素か……素でそれか……」


友人たちは相変わらずこっちを見つめたまま、なにやらぼそぼそとつぶやいている。


「変なの」


話していた友人達だけではなくその向こう側にいたクラスメイトまでこっちを見てきていたので、なんとなく視線をさけるように僕自身は首を振って窓の外を見た。


その瞬間だった。


「那岐!」


突然目の前に見慣れた顔が現れた。那美である。


「うわぁっ!? ひゃっ!」


あまりに唐突な想定外の登場に僕は思わずのけぞり、更にそこからバランスを崩して椅子から転げ落ちそうになったが


「あぶねっ」


咄嗟に横の席に座っていた友人が手を伸ばして、斜めになった僕の二の腕に手を伸ばし体を支えてくれたおかげでなんとか転倒せずに済んだ。


「あっ、ありがと──って那美! どっから出てきたの!」


支えてくれた友人に礼をいいつつ(友人はなぜか呆然と「柔……」とかいって反応しなかったが)、体勢を立て直して()()()の那美にそう声を荒げながら問いかける。


そう、僕が見ていたのは窓の外。そこに突然那美が現れたのだ。


学園の制服ではなく魔装服を纏った彼女は、その僕の問いかけには答えずそのまま窓から教室へ侵入してくると僕の体を抱き寄せた。


「えっ、えっ、何っ?」


姉の行動が理解できずただ慌てる事しかできない僕。なんか「姉妹百合……」とか言ってるのが聞こえたけどウチの姉妹そういう関係じゃない……いやそもそも姉妹じゃなくて姉弟だから!


なんて脳内突っ込みを入れている間に、僕の足が床から離れた。


え?


気が付くと、僕は那美の小脇に抱えこまれていた。そしてその状態のまま那美は再び窓枠へと足を掛ける。


「ちょっと!? 那美、説明!」

「非常呼集! 急がないといけないから向かいながら説明するわ!」


いや非常呼集って何!? 僕そんな呼集受けるような立場になった記憶ないけど!?


そう確認をする暇もなく、体を包む浮遊感。え、ちょっとまって空飛んでる……魔術使ってる!?


「って那美! 僕スカート、スカートォォォ!」


那美はズボンだからいいけど、スカートで空飛んだりしたらまずいでしょぉぉぉぉぉ!




気が付いたらブクマ100を超えていました。本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] もうどこから見ても立派な姉妹ですね!
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