燐堂先輩
初の実戦を終えてから、再び時間が経過し。
一週間ほどたったところで、学園の中の僕の状況に再び変化が訪れた。──悪い方に。
僕の魔法を使う際の、魔法少女フォーム(燐堂先輩命名)がばれたわけじゃない。燐堂先輩はこの件については誰にも話さないでくれているようだし、今の所は学園であの姿を知っているのは束本と先輩、それにたまに家で無意味に僕を変身させて鑑賞したがる那美だけだ。
ちなみに束本にあの姿は出来るだけ隠した方がいいと言われた。もし情報が外部に流れ出た場合、天津原市にリアル魔法少女捜索勢が集結しかねないとのこと。
まぁ天津原市に来たところで僕は進入禁止区域以外ではあの恰好になる気は一切ないので(※自宅除く)、一般人は見れないんだけど。あそこは魔術師のDランク以上の資格を持ってなければ入れないからね。
……なんて話をしたら、ドローンを飛ばすなりギリギリの場所の建物に勝手に侵入して超望遠で撮影しようとしたりして、結果としてトラブルの元になりかねないとのこと。ええ……
尤も言われなくても知っての通り、元より僕は出来るだけ隠すつもりだけどね。
外部の人間に写真撮られてそれが流出するとかそれこそ冗談じゃない。
……っと、ちょっと話が脱線したかな。
じゃあ、なんで状況が変わったのかというと、燐堂先輩のせいなんだけどね……
あの日以降、燐堂先輩が僕に良く絡むようになってきた。学内で近くを通ったら声かけられるし、たまにクラスの方に来るし。一応声を掛けてくるのは人が少なめな時だけどさぁ……
燐堂先輩、5年のエース級なんだよ。外見も格好いいから、女の子の人気も高いんだよ。そんな人が頻繁に絡んで来たら周囲の反応どうなると思う。
うん、一部の女の子の反応が変わりました。
……なんか何人かから明らかに敵意のこもった目で見られるんだよぅ。以前から多少そういった目で見られる事はあったんだけど、ここまで明確に敵意を込められて見られることはなかったデス。
……うう、なんで女の子に嫉妬の目で見られなくちゃなんないの……理不尽!
『受ける嫉妬は女の勲章よ!』
うるさいよ。
僕の精神面は男なんだから、女の子にそんな目で見られるのはメンタルに来るんだよ! 自分が悪いならともかく、これに関しては僕悪くないし……
幸いなのは、束本が大抵一緒にいてくれたりしてあまり学園では一人になる事がないことと、以前男子に囲まれた一件を聞いた那美がウチの学年や下の学年に一度圧を掛けに行ったらしい事もあって、直接何かされる事がない事だね。さすがに今の学園最強と噂される那美を敵に回すような事をする子はいないらしい。
ちょっとやりすぎな気もするけど正直ありがたかったので、その日の夕食は那美の好物にしてあげた。滅茶苦茶喜んでいた。
後、そういった子達とは逆に、今までは遠巻きにしていたのに最近僕に近づいてきた子達もいるけど……正直この子達もめんどくさい。この子達は僕じゃなくて僕の向こう側にいる燐堂先輩しか見てないからね。僕自身を見ていない人間と会話をするのはものすごくめんどいです。
それもこれも燐堂先輩のせい!
というわけで先輩相手に失礼かと思いつつも、出来るだけあまり学園内で話しかけないようにとお願いしました。
結果、少なくともクラスの方に来るような事はやめてくれるようになったので、これで女の子達の嫉妬の目は収まるかな……収まるといいな……
あとその代償に、メッセージングアプリのフレンド登録させられました。そしてそれ以降ちょくちょく巡回のお誘いが来ます。うん、目的が分かりやすすぎて、ある意味清々しくはあるんだけど。
燐堂先輩、僕に対する勧誘全く諦める気がないですよね。そこまで魔法少女が好きなんですか?
……というメッセージを直接送ったら、「勿論だ! 夢の存在が現れたんだからな!」というメッセージが5秒で帰ってきました。先輩入力早いですね。




