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トイレ


初登校から5日目。初めての週末を迎えた頃になると、僕の事はもはや学園中に知らぬものがいない程の状態になっていた。


その結果、今僕は学園中の注目を集めている。


私服という非常にわかりやすい目印のがあるので、そこらを歩くだけでとにかく視線を集めてしまう状態だ。


教室にいる時は一応束本グループの誰か、或いは男時代に比較的親しかった友人たちがさりげなくガードしてくれているのでまだましなんだろうけど。休み時間毎に教室の外に見知らぬ連中が見に来ているからなぁ。


これだけ日数もたてば収まるかと思ったのに、収まる気配もない。同期と先輩方が見に来るのは収まってきたと思ったら、今度は明らかに下の学年の子まで見に来てる。


まぁもう少ししたら一通り見に来おわるだろうから落ち着くかなぁ、って口にしたら「そしたら今度は外の連中が見に来るんじゃね?」と友人に言われた。やめてよ。


動物園のパンダとかこんな気分なのかなぁ、って思う今日この頃だ。


天津原市では魔術は珍しい存在ではないし、魔術で体の一部が変わるという事象は初めてではないけど、まるまる性別が変わってしまったという事象は初めてなので注目を引くのはまぁ仕方ないんだけどさ。正直僕も当事者じゃなければ興味は示しただろうし、見に来ただろうから。


とにかく今は我慢するしかないだろう。猫耳が生えてるとか翼が生えてるとか角が生えてるとかそういった珍しさではなく、外見上は普通の女の子でしかないので、もうしばらくすればみんなも飽きてくれるだろう。多分。


来週になれば学生服の登校になるので、目印はなくなるし。……問題は大部分の生徒がもう僕の顔を覚えちゃっているであろうことだけど。それでも遠目から気づかれる事はなくなるだろうからまだマシか。


……そういや今更思ったんだけど、那美のおかげで寮生活を抜け出せてて本当に良かったと思う。

去年までのように男子寮で暮らしたりしたら正直身の危険を感じる事になっていた気がするし、かといって女子寮にいったら視線で針の筵の気分になっていただろう。


今の所生活空間を女性の中に置くのは無理ですよ。多分僕の方の問題じゃなくて周囲の問題として。特に僕の場合性自認は勿論男だし、クラスメイト達も当然僕の性自認はわかっているだろうからね。


それもあるから面倒だけど結局トイレは日中は利用者の少ない訓練棟の女子トイレを使ってるし。結構離れてるから面倒なんだけどね、お互い気持ちよく……じゃなく気兼ねなく使うためである。


後、これもう一つメリットがあった。いや、メリットじゃないな、問題回避か。


今の僕、本当に注目されてるからさ。廊下とかに出ると視線で結構追われるんだよね。そんな状態で女子トイレに駆け込めると思う!?


実は一回、というか最初の頃に感覚がわりとわからなくて割と限界近くまで行っちゃった事があって、やむを得ず最寄りの女子トイレに駆け込もうとしたんだけど……いや、皆さ! 気になるのはわかるけど、そこは気を使って目を逸らそうよ! 結局なんか恥ずかしくなって、訓練棟の方まで頑張っちゃったよ! マジでギリギリのラインだったんだぞ! 


危うく、この年になってやらかしたという話題性を更に提供するところだった。そんな話題性を提供したらしばらく学校休むけど。僕は。


「はぁ……」


視線を窓の外に向ける。うん、空はいいなぁ。こっちを見てれば視線が気になる事もない。もう休み時間は基本窓の外を見ていようか。


『なんだかアンニュイな雰囲気が出てていい感じね! これは男子の視線を集めちゃうわね!』


うるさいよ。


『考えているのはトイレの話なのにね!』


うるさい、人の思考を読むな!

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