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始まる学園生活②


で。


休憩時間、僕はクラスメイトに囲まれていた。


……まぁ、そうなりますよねー。


周囲をかこっているのは基本的には多かれ少なかれ元から会話があったクラスメイトだ。一部これまで殆ど話した事がない奴も混じってるけど。ちなみにみんな男子だ。女子も何人かこっちに興味を示していたけど、男子に先を越された形だ。


「ほんとうに、ほんとうに伏谷なワケ? 同姓同名の従妹とかじゃなくて?」


朝のHRで、担任の先生は僕の正体とこうなった経緯をきっちりと説明してくれた。


いやぁ、一瞬で喧騒に包まれたね。そりゃそうだろうけどさ。


いくらこの学園がこの世界では常識外れの存在である魔術士しかいないとはいえ、先週まで普通の男だった生徒が女の子に急に変わったなんて事象聞いた事ないだろうしな。


ただまぁ、ここまで完全に変わってしまう話はなくても、ワンダリング・ツールや魔術の使用で体の一部を変化させるっていうケースはあるので、ひとまずは納得してくれたようだ。説明の中でフラジールさんの名前が出たのも大きいだろうな。


ただでもまぁ、それでも今の質問した奴みたいに信じられない事はわかる。だけど、事実だからなぁ……


「僕は正真正銘の伏谷 那岐だよ。JMAも証明してくれてる」

「マジかー……全然別人じゃん」

「一応親族の中で似た外見の人いたらしいって姉さんがいってたから、遺伝の範疇ではあるみたい」

「友人が一夜にして美少女になるとか……まるで漫画みたいな話だな」

「そもそも今の僕たちの存在自体、昔の人たちから見ると漫画みたいな存在らしいけどね?」

「まぁそりゃそうか」

「しかし……僕っ娘……まさか実在したのか」


君さっきもなんか似たような事いってたね?

何故かフルフルと震えながらそう口にした男子生徒の頭を隣にいた友人がスパンとはたく。


「僕っ娘を未確認生物みたいにいうんじゃない」

「少なくともこの学園の中で僕っ娘を観測したことはない」

「お前の世界はこの学園の中だけなのかよ」


なんかどうでもいい口論が始まった。それを後目に、今度は僕の机の正面に腰を降ろしている別のクラスメイトが口を開いた。


「なぁ、伏谷、ちょっと俺気になってる事があるんだけど」

「うん?」

「ちょいとアレな質問なんだけどいい?」

「答えられる事なら」

「じゃあありがたく。……お前ってさ、トイレどっち使うの?」


……。


うん、確かにあれな質問だな。気になるのもわかるけど。トイレかぁ……うーん。


「男子、トイレかなぁ」


そう答えると、周囲がざわっとどよめいた。


そんな反応する事か?


でも女子トイレはさぁ。ぶっちゃけ僕の正体をしらない公衆の場所ならいいけど、少なくともこの学園の人間は近日中には僕が中身が男だっていうのは知るわけじゃない? だとしたらさ、いくら個室で別れているとはいえ、隣に男がいると考えたら嫌だろう。僕は半眼で見られるの嫌だぞ。


男子トイレにも個室はあるし、そっちの方が問題がない気がする……と思ったんだけど。


「本気か? 青少年を惑わせる気か?」

「トイレからお前みたな子が出てきたら、出るものも出なくなるぞ」

「自分を大切にして」


最後の奴はなんだよ。でも、ふむ。

自分が男側として、その状況を想像してみた。……あ、うん、駄目だ。そういう子がいるとわかっててもみた瞬間は焦るってレベルじゃないわ。


「……ちょっと先生に相談してみる」

「風紀的な話もあるだろうし、それがいいだろな」


利用者が少ない教員用のトイレか、或いは面倒だけど訓練棟の方を使わせてもらうのもいいかもしれない。あっちは申請しないと入れないので、他の人とかち合う可能性が低いし。……そういや着替えとかも考えなくちゃいけないかな……いや、これは下に着てくればいいか、別に。


「てかさー、伏谷」


質問はまだまだ終わらないらしい。今度は今までほぼ話したことのないクラスメイトが声を掛けてきた。って、あれ? 視線が合わない?


その理由は次の彼の発言ですぐにわかった。


「本当にそれ本物なの? 実際は何か詰め物してるんだろ?」


そういって彼はなんとなく嫌な感じの笑みを浮かべ、僕の胸に対して腕を伸ばしてくる──





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