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夜のパトロール


そんな感じで日々を過ごして、少し後の事。以前那美が言った通り、ゲートの発生が確認された。


ゲートが発生した場合、即座に向こう側に魔術士が送り込まれる。


なぜならゲートを放置すると、こちら側の世界に影響が出るためだ。

まず一つは、語モノの発生率が跳ね上がる。ゲートを通して流れ込む狭間の力が()()()()()()()()()()()()物語の存在を実体化させる力にエネルギーを与え、その結果語モノが産まれるのだ。


更には放置すると、フォールダウンにも似た事象が起きる可能性もある。もし発生した場合、以前のウィザストの時の用に小規模な影響で済むとは限らない。


だから、ゲート、そしてその向こう側の狭間は早急に消失させなければならない。


ちなみに狭間を消すのは簡単だ。狭間のどこかに存在する"ワールド・コア"という結晶を探し出し、キューブというものに封印すればいい。それだけで力の供給を絶たれ、ゲートと狭間は消失する、


なおこの"ワールド・コア"を封印したキューブは膨大なエネルギーを内包する。そりゃ小規模とはいえ世界を生み出していたエネルギーだから当然だよね。このキューブはエネルギー資源の少ない日本にもたらされた新たなエネルギー源となりつつある。だからこのキューブを持ち帰った魔術士達には成功報酬として膨大な額が払われるわけだ。


そんなゲートの向こう側に、今日那美が旅立った。向こう側に行けるのが許可されているのはSランク術士と"継戦能力の高い"Aランク術士、あとは支援能力の高い術士だ(こっちも継戦能力の高さが求められる)


ウィザストのフォールダウン以降に生まれた人間にしか存在しない魔術器官(マジック・オルガン)持ちは30歳以下にしか存在せず、また天津原市の住人がすべて器官持ちでもないので数は限られる。その中でも上記の条件に該当する術士となると極少数となるため、ゲート発生時は那美はほぼ確実に呼び出しだ。


……それを僕は見守る事しかできない。


今の僕に出来るのは、こちら側のパトロールくらいだ。といっても、Dランクは一人では語モノの現れる放棄地区には入れないので、上位のランクと一緒だけど。


「~♪」


前を歩くのは、戦闘用装備の束本だ。

通常放棄区域のパトロールはA~Cランクに割り当てられる。Dランクはその上位ランクのサポートとして同行する形だ(要申請)。


誘ってくれたのは束本の方だ。これは正直ありがたい……総魔力量の低い僕を連れていきたがる人なんてほぼいないからね。


だから、いざ語モノと遭遇した場合の役目はきめてある。


僕は、戦場には残らない。彼女にバフを一種かけた後、情報取得魔術だけを使って僕は後退だ、残ってもそれ以降は足手まといにしかならないからね。


正直束本におんぶに抱っこ状態だが、こうでもしないと僕は経験も積めないし、出現している語モノの情報取得も重要な役目である。


……ただその情報が必要になるのは、現場に残った束本が語モノを倒しきれなかった場合になるので余り起こってほしくないことではあるんだけど。


「ん~♪」


それにしてもなぜだか束本はご機嫌だ。先ほどから鼻歌を歌いつつ軽い足取りで僕の半歩前を歩いている。そんなパトロール好きなの?


僕の方は緊張気味だ。放棄地区に入った経験も少ないからこれは仕方ないとは思う。束本と一緒だから大丈夫だとは思ってるんだけど。


放棄地区と一言で言っても範囲は広大だ。僕たちだけでもなく、他にも各区域で魔術士達がパトロールをしているはず。僕たちがピンポイントで語モノと遭遇する可能性はそれほど高くないんだけど。


──なんてことを考えてしまったのがフラグになったのか。


「止まって、那岐」


前を警戒に歩いていた束本が、急に足を止めた。




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