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結局、数年かけて分かった事はどうあがいても無理だっていうことだった。


使用する意味ある文字を徹底的に選別し、時にはフラジールさんの知識を借りてまで魔術をくみ上げたけど。結局分かった事は僕の魔力ではどうあがいても実用レベルの魔術は使えないということだ。


空間展開するには、やはり魔力がそもそもが足りないのだ、どうしようもない。だから僕は自分でくみ上げた魔術を使うのは諦めた。


ただ、魔術を構築するのは止めなかったけど。


ここまでくみ上げてきた魔術は、間違いなく役に立つと思っている。ただ僕には使えないだけで、別に空間属性はレア属性なだけで僕以外にもいないわけじゃない。


……残念ながら今のところは充分な魔力持ちの人はいないみたいだけど、いずれは魔力豊富な空間属性持ちが現れる可能性はあるとフラジールさんも言ってたし。


今の僕の夢は、完璧に最適化した多機能の空間魔術をそんな相手に渡すことだ。更にその相手が那美や束本達の助けになってくれればベスト。そこらへんはその相手次第だけどね。


そのためにも、学生生活中は最適化と拡張は続けていくつもりだ。5年生になったら自分の将来の為に依頼の引き受けとかも増やそうかなとは思ってるけどさ。コネづくりと経験を積むために。


現実と理想。追えるところまでは追っていきたいところだ。


──本当はゲートの向こう側に行ってみたい。


ゲート、そしてその向こう側に生まれる"狭間"と呼ばれる異空間はフォールダウンに似た現象だ。フォールダウンが世界が"重なる"事象であるなら、狭間は世界が"擦れる"事によって生まれたエネルギーによって発生する事象とのこと。想像しづらいがそういうことらしい。


そうやって生み出された狭間の光景は、その"擦れた"世界によってさまざまなものらしい。向こう側では機械がまともに作動しないことも多く映像や写真はほとんどないのもあって、ものすごく興味を惹かれるのは確かだ。


といってもゲートの向こうは危険な場所。そしてある意味競争の場所だ。僕みたいに自分の身を護れない人間がいける場所では決してない。僕が向こう側に行くことは決してないだろう。


そういう意味では、身の回りに向こう側の経験者がいるのはラッキーだったかもね。自分で見る事はできなくても那美から聞くことはできるもの。


その分、より一層興味が引かれて焦がれてしまうけど、さ。


実は空間情報を録画する魔術も構築してあるんだけど、これも空間属性だからなぁ……魔力の無駄遣いできない向こう側で自分の興味のためだけに記録してきてくれとかはさすがに姉弟だからって頼めないよね。そのせいで那美になにかあったりしたらシャレにならないどころでは済まないし。


これもいつかは現れるであろうSクラスの空間属性持ちまで我慢するとしよう。


「ふう……」


とりあえず、日中とフラジールさんの所に行ったときに考えていた魔術式を組み終わって一息。後は見直しだ。残念ながら()()グリモワールにはデバッグ機能もないし、テスト環境なんてものもない。だからこそ検証者なんて役目があって、その承認を得ないと魔術として行使できないんだけど。


だから僕の魔術は今のところ机上の空論だ。フラジールさんに随時検証してもらっているし、間違いなく想定通りの効果を発揮することも確認してもらっているけど、実際に行使する事もできないから。


正確には実行はできるけどスグにガス欠でぶっ倒れるだけだけどね。


いつかこの自分の構築した魔術を自分の目で見ることができるといい。そんな存在が早く出てきてくれることを祈るのみだ。

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