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グリモワール


我が家の欠食児童に夕食を食べさせて、その後片づけをすませてからしばらくリビングでのんびりした時間を過ごし。


大体一時間程那美と他愛ない会話をした後、僕は部屋に戻ってきた。この後は僕一人の時間だ。


那美はブラコンの気が結構強く(二人っきりの家族だし、仕方ないことだと思う)家にいる時は何をすることはなくても一緒の空間で過ごしたがるが、ちゃんと一人の時間が必要だと理解してくれているのできっちり一人の時間はとれる。やっぱお互いのプライベートの時間って大事だよね。


まぁ僕は一人の時間はほぼ作業に当てるわけになるんだけど。


ベッドに腰を下ろし、僕は言葉を紡ぐ。


「グリモワール、起動」


その言葉に従い、一瞬書物がホログラムのように眼前に浮かび、そしてうっすらと消えていく。


これが"魔術書"グリモワール。実際には本ではなく、神代言語を魔術として行使するためのいうなればアプリみたいなものだ。


魔術器官(マジック・オルガン)を持つ子供は、学園に入学すると最初のこのグリモワールを魔術器官(マジック・オルガン)の記憶域に記録(インストール)される。ちなみにネーミングはこっちに来てからつけられたものらしい。誰がつけたんだろうね。


んで、魔術はこのグリモワールを起動した状態じゃないと使用できない。


だったらずっとグリモワール起動しておけばいいのではと思われるかもしれないけど、極少量とはいえ魔力消費するからね。後、魔術の暴発を防ぐ意味合いもある。


そして、魔術を開発するにもこのグリモワールは必須だ。


「《エディタ》」


グリモワールがアプリなら、魔術はそのアプリで使えるコマンドか。その中でもデフォルト設定されている魔術の名前を呼ぶと、僕の目の前に半透明のディスプレイと、キーボードが表示される。キーボードは日本語でも英語でもない、というかこの世界にはもともと存在しなかった文字だけど。


僕たちはこれで魔術をくみ上げる。まんまプログラミングみたいな感じだね。


ちなみに名前だけじゃなくて、開発ツールもこの世界向けにカスタマイズされているらしい。ウィザストでは普通に書物に文字を描くようなインターフェースだったとか? フラジールさんがこっち側の人間の意見を聞いて改修してくれたらしい。


というかグリモワールの改修とかコアな部分だと思うんだけど、そんな事までできるとかやっぱりすごいんだなあの人。


「さて……っと」


ここから先の時間は魔術開発の時間だ。


まずは今日フラジールさんに相談したところの修正っと……


魔術は神代文字による"意味ある言葉"を組み合わせて構築する。この意味ある言葉はそれこそ膨大な種類がある。似たような効果でも他の言葉との組み合わせで効果や威力、魔力コストが変わったりするのだ。それに個人の適正も影響する。


魔術適性はそれぞれ数値のパラメータみたいなもので、オンオフのように適性が弱くても全く使えないわけではない。ちなみに僕の一番高い適性は『空間』──これは情報収集系や魔術の広域への適用に有効な属性なんだけど……適性は高いのに、相性は悪いという悲しいことになっている。


なんで相性が悪いかというと……空間全体に魔力を使用するため魔力の消費が重いのだ。


普通の魔術をちょっと使うにも心もとない魔力しか持たない僕には、まったく合わない属性というわけだ。


ま、別の属性だったとしても結局実戦では役に立たないレベルにしかならないけどね。


だから僕はその相性の悪い空間系の魔術の開発をしているんだ。もっとも今となっては自分の為にじゃなくなっているけど。


最初の頃は自分で使う事を考えて魔術を組んでいた。空間適正はレア属性でしかも適正無しの人間が使おうとするとコストがくっそ重くなる。そんなだから少なくとも適正を持ってる僕なら何かしら役に立つ魔法を使えるかなって、いろいろ構築したんだけどね……






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